がん治療は大きく分けると「局所療法」と「全身療法」に分けることができます。局所療法は、がんのある部分とその周辺を治療するもので、手術と放射線治療がこれにあたります。
全身療法とは、全身に対して治療を行うもので、抗がん剤治療などの薬物療法がこれにあたります。
目次
1. 手術
「体にメスを入れるのは抵抗がある・・・」と言う意見も多いと思いますが、近年では切除する範囲を小さくしたり、最新の手術方法によって体への負担を少なくする手術が多く行われるようになっています。
患者の病状や手術の方法によって異なりますが、入院期間も短くなってきている傾向にあります。
内視鏡手術
主に早期消化管がんを対象とした手術で、専門の器具を使ってがん組織を切除します。切除する部分が少なくすみ、出血や痛みも少ないため、体への負担が少ないのがメリットです。
従来の内視鏡手術では切除できる大きさに制限がありましたが、大きながん組織を一度に切除できるESDと言われる最新の内視鏡手術も登場してきています。
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは
従来の内視鏡手術では2cm以上の大きな腫瘍は数回に分けて切除する必要がありました。しかしESDでは、大きな腫瘍も一度に切除できることもあって、術後数日で食事ができるようになったり、入院期間も1週間程度ですむため、体の負担ももちろんですが、日常生活への影響も最小限ですむことが大きなメリットです。
早期食道がん、早期胃がん、早期大腸がんに対して健康保険が適用されていますので、高額療養費制度の対象にもなります。
腹腔鏡下手術
内視鏡の一種である腹腔鏡(カメラ)を使う手術で、腹部の皮膚に小さな穴をあけてガスでお腹を膨らませ、腹腔鏡を挿入した後、テレビモニターで内部の状態を見ながら手術をします。
最新の手術!手術支援ロボット「ダヴィンチ」の登場が世界を変える?
安全性と確実性をさらに高めるために開発されたのが、手術支援ロボット「ダヴィンチ」です。
ダヴィンチは、腹部にあけた小さな穴から内視鏡を挿入して行う手術ですが、直接患者の体に入るダヴィンチのアームは人間の手首や指以上に繊細な動きが可能なために、誤差が生じることなく、血管を傷つけずに手術ができて出血量も少なくてすみます。
術者は遠隔操作でダヴィンチを操作するため、高度なテクニックが必要とされていますが、傷口が小さく痛みも軽いため、職場復帰も数週間で可能と言われていて、今後の可能性が広がる術式のひとつです。
前立腺がんの治療に用いられることが最も多く、膀胱がん、腎臓がん、子宮がん、食道がん、胃がんなども臨床試験が行われています。
2. 放射線治療
放射線治療は、「メスにとって代わる治療法」として注目され始めています。
厚生労働省の調査によると、欧米ではがん患者の約60%に放射線治療が行われているのに対して、日本では25%ほどしか行われていないことがわかっています。
放射線治療は、体を切ることをせずに、がん組織を小さくする効果があります。がんの種類によっては、手術と同等の効果が認められるものもあります。
また、骨に転移したがんによる痛みの緩和や、しびれや痛みの原因になっているがんを治療する際にも使われます。
定位放射線照射
高線量の放射線を多方向から1点に集中して照射する治療で、1回から数回に分けて行われ、比較的大きながん組織にも対応が可能です。また分割して照射したり、体幹部の病変にも照射できるメリットがあります。
がんが大きすぎて手術できない場合には、放射線で小さくしてから手術で取り除くと言う方法が用いられます。
ガンマナイフ
脳を対象とする治療に現在最も用いられていて、放射線の一種であるガンマ線を用いて、脳の病巣を治療します。
正常な脳組織への影響がほとんどなく、1本1本のガンマ線のエネルギーが非常に弱いため、心配されている術後の皮膚炎や骨髄機能抑制を起こすこともありません。
サイバーナイフ
放射線治療の中で最新の治療法で、特殊な治療装置のお陰で患者の動きを追跡することができるため、ガンマナイフのように頭を器具で固定する必要がありません。
体の深部の治療を得意とする重粒子線や陽子線に対し、サイバーナイフは照射角度や方向が自由自在なため、複雑な形の腫瘍や重要な臓器の近くにある腫瘍に対しても効果があります。
周囲の正常な組織を傷つけない「重粒子線・陽子線治療」
従来の放射線治療ではX線やガンマ線が用いられてきましたが、その多くは体の表面近くで吸収され、体内のがん細胞に到達するまでに線量が少なくなってしまうと言うデメリットがありました。
そのデメリットを解消するための画期的な治療法として重粒子線や陽子線を使った粒子線治療が注目を浴びています。
3. 抗がん剤治療(薬物療法)
抗がん剤と言うと、脱毛や吐き気などの重い副作用がつきものと考えられてきました。
しかし、最近では様々な最先端の研究によって、体への負担が少ない、より効果の高い抗がん剤治療がされるようになってきました。そのため、通院で抗がん剤治療を行うことも少なくありません。
抗がん剤治療は大きく分けて3種類
化学療法
化学物質によってがん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞を破壊したりする治療法で、副作用もありますが、近年では副作用を抑える薬を併用したり、投与方法を工夫することで体への負担を抑えることができるようになりました。
分子標的治療
抗がん剤の多くは、がん細胞だけでなく正常な細胞にまで影響を与えてしまうと言うデメリットがありました。
それに対して、分子標的治療は、がん細胞を持つ特定のたんぱく質や遺伝子にピンポイントで攻撃することができる薬で、肺がん、乳がん、大腸がん、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などに効果を発揮します。
ホルモン療法
がんの中には、がん細胞を増やすためにホルモンの作用を必要とするものがあります。ホルモン療法は、こうした特性を生かして、ホルモンの作用を抑えることでがんの増殖を抑える治療法です。
化学療法とは異なり、がん自体を攻撃するものではありません。乳がん、子宮体がん、前立腺がんに有効とされています。
新しい抗がん剤の効果が期待されるがん
肺がん
分子標的薬が開発されて、がんのタイプやがん細胞の遺伝子を解析することで、薬を使い分けることができるようになりました。
乳がん
分子標的薬と抗がん剤の両方のメリットを生かして、新しいタイプの分子標的薬が登場しています。
大腸がん
再発、転移した場合に薬物療法が選択されることの多い大腸がんですが、分子標的薬と従来の抗がん剤を併用することで、生存期間を延ばす効果が表れています。
前立腺がん
既存の抗がん剤が効かなくなったがんにも効果が期待できる3種の新薬が登場しています。
がんは通院で治しながら日常生活を送る時代に
分子標的薬の開発などにより、体に負担の少ない抗がん剤の使用が増えてきた結果、入院せずに通院でがん治療をする患者が増えてきました。
「働きながらがん治療をする」と言う患者のために、副作用に対する治療も進歩してきています。
また、抗がん剤治療は長期間におよぶ可能性のある治療法です。抗がん剤治療経験者の約4割が半年以上の治療期間を費やしていることから、治療費や生活費などの資金面の不安も考える必要がありますので、がん保険などの検討も頭に入れておきましょう。
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