【賃貸業界裏話】必見!先物物件と流通物件を詳しく解説します

あなたは先物物件って言葉をご存知でしょうか?

その意味どころか言葉自体聞いたこともない方がほとんどなのではないでしょうか。

しかしインターネットの検索では「先物物件」という言葉の検索数は意外に多く、当サイトでもこの記事がナンバーワンの検索数を誇っているのには私自身も驚いています。

賃貸用語というよりは業界用語といった方がしっくりいくこの言葉ですが、いざ説明しようと思うと賃貸物件の流通の仕組みの説明になってしまいますのでとても時間がかかってしまいます。

でも、わかってくるととても興味深く、賃貸って面白いって感じる方もいるかもしれませんね。

しかもこのページをご覧になれば、お部屋探しって自分で物件検索ばかりやっていてもダメなんだということがはっきりわかると思います。
効率よくお部屋探しをしたい方は是非ご一読ください。

「先物物件」とは?

「先物物件」を語るには前置きが長くなると思いますがご辛抱ください。

前置き1. 大家さんはどうやって入居者の募集をするのか

賃貸物件とはもともと持ち主がいるお部屋に他人が賃貸借契約を結び、家賃を払って一定期間借用するものですが、そもそも物件の持ち主である大家さんは自分が所有するお部屋を他人に貸そうと思ったらどうやって入居者の募集をするのでしょうか?

おそらく建物の前に「入居者募集中」なんていう貼り紙を出したり、知人などにお願いしたりと・・・。 こんなところでしょうか。

もしこれで入居したいという人が現れればそのまま契約という話になるのでしょう。
そうです、大家さんは宅建業の免許が無くても自身の所有物件の賃貸借契約を行える唯一の人なのです。

しかし、所詮素人です。
単に「いいよいいよ」で入居させてしまってあとあとトラブルになったのでは折角の好意が裏目に出てしまいます。

といって一生懸命宅建業を勉強する人もそうはいないでしょう。(しかし大家=不動産屋さんという人もいます)
そこで宅地建物取引のプロ(つまり不動産屋さん)に一切を任せるのです。

任された方はそのお部屋の入居者募集から契約、退去時の対応まで全ての面倒を見ることになります。
これが不動産屋さんの仕事です。

ここで大家さんからお部屋の入居者募集を任せられた不動産屋さんのことを「物元の業者」といいます。(以下、物元)

物元は大家さんからある契約をもって物件の管理を委託されるわけですが、この※「ある契約」によって大家さんが任せられる業者の数が決まっています。

「ある契約」とは、一般媒介契約とか専任媒介契約とかいいますがその説明は不動産屋さんによって紹介物件が違う?「不動産屋さんと大家さんの関係」の項目をご参照ください。

しかしながら一般媒介契約であれば、業者の数が何社であろうと大家さんから直接任せられればすべての業者が物元になれちゃうんです。

あなたも気になるお部屋がまだ空いているか不動産屋さんに聞いたときに「確認してから折り返します。」みたいな返事をされたことないでしょうか?

あるいは実際に不動産屋さんでお部屋を探してもらっているときに、しきりに大家さんに電話をして空き確認をしている様子を見たことはあるのではないでしょうか。

一般媒介で大家さんと直接契約をしていても、見込客が現れるたびにいちいち大家さんにその時点での空きを確認しているのは、先ほど言ったように同じような立場の不動産屋さんがたくさんいるのでいつどこから申し込みが入っているかわからないからなのです。

常に最新の空き情報を確認しておかないとせっかく申し込みを取っても、既に他から申し込みが入ってしまっていたなんてことになりかねません。

あと、一般媒介契約の他にも専任媒介契約を結んでいる場合も、大家さんが勝手に身内に貸しちゃったなんてことも無きにしもあらず、この2種の契約形態の場合は、常に空き確認が必要なんです。

ちょっと余談ですが、不動産屋さんがお部屋の空き状況を確認するために電話をしている相手は

  1. 大家さん
  2. 物元の不動産屋さん
  3. 物元の管理会社

のうち必ずどれかになります。

今回のケースは1番ですね。
2番と3番のケースは追って説明しますね。

前置き2. 流通物件

さて、大家さんから客付を依頼された物元の不動産屋さんは一生懸命入居者を探しますが、なかなか借りたいという人が現れないとします。

このままでは大家さんに文句を言われちゃいます。
でも、他の物元さんよりも早くお客さんをつけられれば大家さんの評価はアップしますよね。

もしかしたら専任に切り替えて(専任媒介契約に変更)もらえるかもしれないし、他の物件も任せてもらえるかも。
ここはひとつ頑張らねば!

ということで、この物件情報を業界内に広く公開して他の不動産業者たちに入居者を探してもらおうってことになります。

やり方としては、レインズという業者間だけで検索できるサイトに登録したり、間取り図面を作成して配布したりします。

このように広く募集をかけて全ての業者に客付けを依頼している物件のことを「流通物件」といいます。

流通物件のことも、お部屋探し予備知識編
不動産屋さんによって紹介物件が違う?「賃貸物件の入居者募集の方法」の項目にて詳しく説明していますのでご参照ください。

さて、宣伝の甲斐あってようやく入居者が決まりました。

このように「流通物件」にお客さんをつけることを「客付け」といいますが、大家さんから物件を預かっている「物元業者」に対して、客付けした業者のことを「客付業者」といいます。

客付けというのは上のように、客付業者がする場合と元付け業者がする場合のほかは大家さんが直接付ける場合の3種類があります。

ただし、専属専任媒介契約の場合は大家さんでも客付けすることができません。

ちなみに物元業者が客付をした場合はその業者は物元業者であり客付業者でもあるということです。

いよいよ本題

入居者募集の方法としては各種情報誌やインターネット等がありますが、業者は独自にいろんな方法で宣伝を開始します。

下のイラストをご覧ください。

元付業者が管理している物件に対しては、その物件が流通物件なら客付業者もお客さんを付けることができます
しかし、元付業者の許可を得て、1段目の業者が宣伝している物件に対してはさらに業者(2段目)がつくことが出来ないのです。

なぜならすでに2段目の業者の前(先)にはすでに業者が入っているから・・・。

なんとなく見えてきましたね。
客付業者の先に客付業者は入れないのです。

1段目の業者が発する宣伝を見て2段目の業者が1段目の業者に客付が可能かどうか聞いた、まさにその時の返答が、
「あ、これ先物物件なんで・・・」となります。

このように客付けの業者(この場合1段目の業者)が宣伝する物件のことを「先物物件」というんです。
(やっと出てきました)

「先物物件」といえども本来は、物元(元付業者)が大家さんから管理を預かっているものですので、その物件を宣伝したいときは当然物元業者の許可を取らなくてはなりません。

皆さんも経験があると思いますが、ある物件検索サイトにて自分の希望条件で検索をかけた場合、違う業者なのに明らかに同じと思われる物件が何件もヒットすることがよくあります。

この仕組みは今まで説明してきたように流通物件を、物元を含めてたくさんの業者がこぞって登録しているからにほかなりません。

ということは、たったひと部屋の情報なのに、取り扱い業者の違いだけで10件も20件もヒットして、検索結果一覧画面をその物件だけで占領してしまうという結果になることがよくあります。

しかもやっかいなことに今までは客付業者による無断掲載が非常に多かったのも事実で、物件検索サイトの登録物件数が膨れ上がった原因は、このようなダブリ登録が日常的に行われて来た結果なのです。

仲介業者さんともなるとお客さんからの問い合わせをたくさん取るために流通物件を片っ端から入力しているところがたくさんありました。

今現在は、多くの検索サイトが流通物件をインターネットや雑誌に掲載するときは必ず物元の許可を取るよう義務づけているので以前よりは改善されてきたのも事実です。

ある大手の物件検索サイトでは、流通物件は物元の掲載許可がないと載せられず、無断掲載がばれるとペナルティーが課せられ、さらには業者登録抹消という厳しい措置でこの問題に取り組んでおります。
その甲斐あって無断掲載によるトラブルは減ってきたといえるでしょう。

そのかわりに浮上してきたのは「終了物件の未削除」です。 物件を登録する側は、一生懸命登録はしますが、終了したときの削除には非常に消極的です。

そもそも物件検索サイトのあり方自体が、業者からいえば集客の道具にすぎないので、登録した物件が終わっていようが、関係ないのです。
ということはこの問題の解決はなかなかな難しいものと言えそうです。

いたちごっこの繰り返しですが、今現在のネットにおける賃貸事情は何度も様変わりしています。

無法地帯の創世記→登録が増え、規制がかかった過渡期→そして淘汰→生き残りの時代。

いろんな不動産屋さんのホームページを見ますと、必ずといっていいほど物件検索が出来るようになっているのがわかるでしょう。

これは規制の厳しいネットベンチャー運営の検索サイトから撤退し、自分のサイトで自由に物件を登録し、物件検索が出来るようになってきた現れといえます。

やはり、物件本位の検索では問題点は解決しないどころか、運営側はその解決のために物件公開期間を短縮したり、さらに規制をかけてしまい、業者側から見れば非常にやりにくい環境になってしまいました。

結果、物件を先に探すより、不動産さん探しを先に行ったほうがよさそうです。
どうしても物件検索をしたければ、そうして見つけた不動産屋さんのサイト内で物件検索をした方がより信頼性があります。

当サイトは物件検索ではなく、不動産屋さん検索ができるようになっています。
当サイトの不動産屋さん検索には、おとりもダブリもありません。
安心して信頼できるお店を探してください。

まとめと重要事項

この場を借りて、あえて申し上げておきたいことがあります。
それは、とかく先物物件というとあまり良いイメージを持てない様になってしまったかもしれませんが、誤解されないように少々補足致します。

先物物件を掲載すること自体は悪いことでもなんでもありません。
要は掲載する目的の問題なのです。
「反響」がくるからといって、とっくに終わっている物件を掲載したり、物元に許可を得ないで大量に物件検索サイトに登録したり、集客したいが為に少々行き過ぎた行為に、物件検索サイトと先物物件は利用されてしまったという背景があります。

良い物件を見つけて電話しても、その物件のことより、来店を強要したり、お店に来ないと図面も見せられないなどと言われる。
仕方なくお店に行くと、なんだかんだ理由をつけて結局違う物件を勧められる、などということがよくありました。

お部屋探しは結局は不動産屋さんとの信頼関係の下で行われるべきものだと思いますので、電話やメールで問い合わせたときに印象が悪かったらその業者はやめるなどの対策を取りましょう。

流通物件はどこの不動産屋さんでも紹介してもらえるというメリットがありますので、なにもその業者じゃなくても全然OKなんです。

何度も言いますが、インターネットは印象の良い不動産屋さんを探すアイテムとして利用するのが、これからの賢い利用法なのです。

中には流通物件を条件の悪い残り物のように表現する知ったか評論家まがいがいますがこれは明らかに間違いです。
そんなことを言っている人は、流通物件の性質自体を知らないのでしょう。

市場に出回る物件情報は殆どが流通物件といってもいいでしょう。

ただ、地場の不動産屋さんに行くとたまにどこにも出回ってないような物件にめぐり合える可能性があるので、お部屋探しはこの地場のタイプとターミナルの両タイプをバランスよく利用することです。

不動産屋さんのタイプについては
不動産屋さんによって紹介物件が違う?「不動産屋さんのタイプ」の項目をご参照ください。

流通物件の中には、自社にて募集部門を持たない管理会社系の物件も多く含まれています。
こちらは地場ではあまり紹介されない物件です。

最近では新築物件もここから数多く出ており、比較的バリっとしたマンションはこのルートから紹介されます。
こういった管理会社と日頃から付き合いが深いのが仲介業者さんです。

中には担当者同士個人的に仲が良かったりしますので、最新情報が担当者レベルで優先的に流れてきたりもします。
そしてその情報はインターネットに載せる前にまず、自分が担当して、既に希望条件がわかっているお客さんに向かって発信されるのです。

ですから、すでにお分かりと思いますがインターネットで一生懸命検索していたって最新情報は入ってきません。

要は、不動産屋さんに自分の希望条件をあらかじめ具体的に伝えておくことが何よりも重要なのです。

既にインターネットでのお部屋探しは物件ありきの物件検索から他の利用法にシフトしてきていることに気づいてください。

これからは自分の希望条件を積極的に不動産屋さんに伝えて、プロにお部屋探しを任せることです。
そして担当者と常に連絡を取れるようにしておくことが、良いお部屋に出合う近道です。
そして、どの不動産屋さんに任せるかをインターネットで研究する時代なのです。

皆様はどうお考えでしょうか?

ライター紹介

shioGサイトオーナー兼ライター

投稿者プロフィール

ヤマハにて半導体検査コンピュータのプログラマーをしていたが、芸能界に興味を持ち上京。芸能マネージャーとして安室奈美恵・MAXらの現場を担当。その後保険業界に転職。代理店資格を取得するも不動産業界へ再転職後、しばらくして仲間数人と不動産会社を立ち上げて独立。集客方法を模索しているうちにインターネットの可能性に惹かれはじめ、遂には本業に。2005年にネット系の会社を立ち上げ現在に至る。
【専門分野】芸能、不動産、保険、インターネット全般、ネットビジネス、SEO対策、ネットマーケティング他
※筆者の記事はすべて自身の経験に基づいた事実・見解を述べている。

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