専門用語は難しいものですが、特に損害保険の専門用語は難しいと言われています。そこで、ここでは「自動車保険の基本的な専門用語」をなるべくわかりやすく解説していきます。
目次
自動車保険の専門用語の基礎知識
自動車保険のパンフレットに必ず記載されている、「でも実はよくわからない」、そんな専門用語について解説していきます。
相手への賠償
相手への賠償には大きく分けて「人」「モノ」の2つがあります。
対人賠償保険
相手の方にケガをさせてしまった場合に、自賠責保険等により支払われる金額を超えた分(治療費、慰謝料、働けない期間の収入など)を補償されます。万が一、死亡した場合や後遺障害が残った場合にも補償されます。
2005年の名古屋地裁の判決では、バイクと衝突して運転者に重い後遺障害が生じたケースでは、3億8,281万円の総損害額が認定されています。
対物賠償保険
相手の車や電柱、塀などに損害を与えてしまった場合に、修理費などを補償します。
1996年の東京地裁の判決では、トラックと衝突したはずみで店舗に飛び込んで損害を与えたとして、1億3,450万円の損害額が認定されています。
※保険金を支払わない主な例
- 故意の事故による損害
- レースなどの競技中の事故による損害
- 親族間での事故による損害
- 戦争・台風・洪水・高波による損害
- 地震・噴火・津波など
ケガの補償
人身傷害保険
事故で自分や同乗者の人がケガをしてしまった場合に、治療費や働けない期間の収入、精神的な損害などを補償します。
死亡された場合や後遺障害が生じた場合も補償します。
搭乗者傷害特約
契約している車に搭乗中に事故によりケガをした場合、入院日数やケガの種類に応じて保険金が支払われます。
人身傷害保険の保険金の支払いが、示談交渉や費用の算定などに時間がかかるのに対して、搭乗者傷害特約は、人身傷害保険とは別に算定されるので、保険金の受取が早くなります。
※保険金を支払わない主な例
- 故意・重過失
- 酒気帯び運転
- 闘争・自殺
- 疾病・心神喪失
- 感染症
- レースなどの競技中の事故
- 戦争、地震・噴火・津波など
車の補償
車両保険
事故で、契約している車が壊れてしまった場合に、修理費はもちろん、工場までのレッカー代なども補償します。
車両保険は「一般車両」と「危険限定車両」の2つに分かれていて、一般的に「一般車両」のほうが保険料が割高な分だけ補償範囲が広く安心できます。
「危険限定車両」は、一般車両と比べると、対車でない単独事故や歩行者や自転車との事故、当て逃げ、墜落・転覆・地震・噴火・津波などが補償の対象外となっています。
さらに詳しく、専門用語の基礎知識
もう少しだけ詳しく専門用語を解説していきたいと思います。
絶対に知っておくべき自動車保険の専門用語
対物超過修理費用特約
事故で壊れた相手の車の修理費が時価額を超えて、対物賠償保険で十分に補償できない場合に50万円を限度に(※保険会社により金額は異なります)保険金を支払います。
これは、レトロな車などに当てはまるケースが多く、支払われる保険金は高額ではないのですが、保険料も少額なので付けておいたほうが無難な特約です。
他者運転特約
友人・知人などから車を借りて運転した際の事故について、対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害保険、車両保険のうち、契約している補償の対象となっている保険金を支払います。
この特約は、どの保険会社の自動車保険にも必ずセットされているもので、借りた車に優先して自分の保険から優先して保険金を支払うことができるので、車を借りた人に迷惑をかけることが少なくなります。
弁護士費用特約
自動車事故を含めて、日常生活で起きた事故について、生命または身体を害されたり、財物に損害を受けて、損害賠償請求費用や法律相談費用を負担した場合に保険金を支払います。
※一方的に追突された場合など、被害者となった本人に法律上の損害賠償責任が発生していない場合、示談交渉サービスは利用できないので、弁護士費用特約を付加することで、交渉を弁護士に依頼するための費用が補償されます。
代理店でも通販型でも基本的には使っている専門用語は同じ。
代理店と通販型の違いについては、自動車保険のプロが答える!通販型と代理店どちらがいいの?メリットデメリットは何?でもお伝えしましたが、保険料に差はあっても、そこで使われている専門用語にほとんど違いはありません。
「自動車保険は、なんだか難しい・・・」と言うイメージがあるようでしたら、まずは事前に情報を集めて、少しでも「予習」をしてみるといいでしょう。
それでもわからないところがあれば、無理に契約をせず、専門家に相談をしてみましょう。これは、生命保険も損害保険も同じです。
一番怖いのは、「わからないまま」契約をしてしまうことです。これは代理店でも通販型でも、どちらにも共通して言えることなのですが、自動車保険の契約を、意外と簡単にすませてしまっている人が多いように感じます。
しかし、自動車事故は数千万円の賠償責任が発生する可能性があり、また交渉も長期化するかもしれないリスクもあります。自分が被害者になったときのことも重要ですが、もしも加害者になってしまったときでも、安心して示談交渉に臨める自動車保険を選んでおく必要があります。