地震保険の家財はどのように査定して保険金が支払われるのか

あなたの家は火災保険に加入していますか?

地震保険には加入していますか?

家財も補償されていますか?

家財の地震保険の査定方法とは?

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地震の被害に遭ってしまうと、経済的な負担は想像以上に大きなものとなります。

そのために地震保険に加入するかどうか検討するのですが、ご存じの通り地震保険は火災保険とセットでなければ加入することはできません(後から加入することもできます)。

地震保険は家財も補償対象とすることができますが、保険料はその分だけかかりますので「家財は地震保険かけないでいいか」と考える人もいるでしょう。

家財の地震保険の保険料を支払うことと、地震が起きて家財の地震保険金を受け取るメリットのイメージが結びつかないと言うことも、家財の地震保険の必要性に疑問を持つことの原因のような気がします。

そこで、ここでは地震保険で家財の保険金はどうやって支払われるのか、どう査定されるのかをまとめますので、今後の家財の地震保険の検討の参考にしてください。

建物と家財とでは地震保険の査定方法が異なる

そもそも火災保険と地震保険の査定方法も違うのですが、地震保険自体も補償対象が「建物」と「家財」とでは査定方法が異なります。

火災保険と地震保険の査定方法の違い

火災保険と地震保険の査定方法の違いは簡単に言うと2つです。

  1. 火災保険は被害に応じた修理見積もりの金額をもとに、保険金額を上限に保険金を支払う
  2. 地震保険は被害状況に応じて、全損、半損、一部損の3パターンに当てはめて保険金を支払う

ですから、地震保険を請求する場合には、火災保険のように修理見積もりを保険会社に提出する必要はありません。

地震保険では、全損で100%、半損で50%、一部損で5%の保険金(時価が限度)が支払われます。全損・半損・一部損の判定の基準は財務省のホームページでも簡単にまとめられていますので、そちらをご覧ください。

 参考:財務省「地震保険制度の概要

地震保険の「建物」と「家財」の査定方法の違い

地震保険の査定方法は、建物と家財とで全く異なります。

建物は主に主要構造部分(屋根、壁、柱、基礎など)がどれくらい被害に遭っているかで査定をします。壁全体のうち何%くらいの損害か、柱全体のうち何本(何%)の損害かなどを査定し、最低でも3%以上の損害があれば一部損と認定されます。

対して家財の査定方法は複雑で、最低でも10%以上の損害が認められなければ一部損と認定されません。

どのように「最低10%以上の損害」を査定するのか

家財とは、テレビやビデオなどの家電製品、食器、棚やタンスなどの家具、調理器具、寝具や衣服などの総称です。

そして、これらの家財のうち最低でも10%以上の損害が認められなければ一部損としても保険金を受け取ることができません。

では、具体的にどのように「最低10%以上の損害」を査定するのでしょうか?

今まで保険会社は、この査定方法を公にはしてきませんでした。

しかし、東日本大震災が起こってから、迅速に保険金の支払いを遂行するために私たちのようなFPにも情報を提供するようになりました。

ただし、それでもこの情報が一般ユーザーにまで浸透しているかと言えばまだまだでしょう。そこで、ここでは、具体的な査定方法を知ってもらい、漏れなく保険金を受け取ってもらうことで、少しでも震災時の経済的負担の軽減に繋がればと考えています。

家財の地震保険を請求するとき、何の家財がどれくらい請求できるのか?

家財の地震保険を請求するとき、家財は大きく5つの項目分かれていると言うことを覚えておきましょう。

この5項目の中で、合計で最低10%以上の損害が必要になります。

  1. 食器陶器類(5%)
  2. 電気器具類(20%)
  3. 家具類(20%)
  4. 身回品その他(25%)
  5. 衣類寝具類(30%)

この場合の割合は損害額ではなく、家財全体を100%とした場合のそれぞれの割合です。

5つの項目それぞれには更に細かく品目が分けられます。

電気器具類ならテレビや電子レンジ・オーブン、食器陶器類なら食器・陶器置物・食料品・調理器具と言うように細かく分かれています。

  1. 食器陶器類5%(食器、陶器置物、食料品、調理器具、漆器)
  2. 電気器具類20%(電子レンジ・オーブン、ステレオ・コンポ、パソコン・ワープロ、テレビ、エアコン・ファンヒーター、冷蔵庫、洗濯機、掃除機)
  3. 家具類20%(食器戸棚、タンス、サイドボード、机・椅子、食堂セット)
  4. 身回品その他25%(カメラ、メガネ類、書籍、CD・レコード・テープ類、人形、鞄、靴、スポーツ・レジャー用品、ピアノ、装身具)
  5. 衣類寝具類30%

ですから、家財1000万円の保険金額で時価200万円の超大型テレビが地震で壊れてしまったとしても、それだけで「20%の損害」となる訳ではなく、各項目を合わせた合計が10%以上にならなければ保険金の支払いとはなりません。

そして、食器陶器類だけでは合計でも5%ですから、家財の地震保険の請求はできない計算になります。

何も高価なものでなくても、品目が多ければ受け取ることのできる保険金額は大きくなりますので、安価なものでもしっかりと壊れているかどうかを確認しておきましょう。

家財の地震保険の請求に必要な3つのこと

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地震保険は、地震で被った被害から生活を立て直すためのものです。

そして、その中でも家財にかける地震保険は衣服や食器、家電製品や調理器具など日常生活に直結してくるものばかりです。

1. 加入している地震保険は家財が補償の対象か確認する

被災された場合、保険証券自体が見つからなかったり、補償内容がわからなくなったりすることも多く見られます。

保険証券がないからと言って、保険金の請求を諦めてしまうことはありません。

自然災害損保契約照会センターでは電話で補償内容を確認することができますので、落ち着いたら連絡を入れて補償内容や手続きの仕方などを確認するといいでしょう。

以下のリンクにその詳細をまとめています。

<参考記事>

2. 被災したら必ず写真撮影をし、状況を画像で保存しておく

これは建物についても同じことが言えますが、特に家財の場合、屋内が安全と確認できれば早く日常生活に戻りたいと、片付けを行ってしまいがちです。

しかし、家財の地震保険を請求するために、被災した品目を写真で保存しておく必要があります。

特に壊れた食器や家具などはすぐに捨ててしまうことが多く、後になって地震保険の請求をし忘れるケースも多く見られます。

地震保険の請求漏れをなくし、少しでも経済的負担を軽くするためにも、壊れたり汚れて使えなくなったものは全て写真に撮って保存しておきましょう。

ちなみに、写真は携帯電話のカメラでも鮮明に写っているものであれば問題ありませんので、全体像と損害部分をしっかりと撮っておきましょう。

また、保険金の支払いとなるかは実際に請求しないとわかりませんが、なくなったものについても思い出せる限り紙などにまとめておきましょう。

3. 保険金請求ができるかどうかは自分で判断しない

保険金請求ができるかどうか、その基準は保険会社が決めます。

「これは請求できないだろう」「汚れてるだけだし」「どうせ捨てるものだったから」と安易に決定せずに、まずは写真を撮り、保険金が支払われるかどうかは保険会社の判断に任せるようにしましょう。

「これは対象じゃないだろう」と思っても、保険金の支払いの対象になるものは意外に多く、それを自己判断で逃してしまう契約者は思いのほか多いことも知られていない事実です。

結果として、建物部分よりも家財のほうが保険金を多く受け取ることができたと言う声も聞きますので、家財の地震保険を軽く見ないほうがいいかもしれません。

家財の地震保険の査定方法まとめ

家財の地震保険は建物の地震保険と査定方法が異なります。

まとめると、

  • 建物は主要構造部分の最低3%以上の損害、家財は10%以上の損害。
  • 被災したら、壊れたもの・汚れたものを写真に撮って画像を保存しておく。
  • 保険金請求の是非は自分で勝手に判断しない

と言うことになります。

家財に火災保険をかけていても、地震保険をかけていなければ「地震による火災」での家財の損害は補償されません。

また、補償内容の選び方、保険期間の選び方によって保険料も異なります。

家財の地震保険の査定方法を知っておくことも重要ですが、そもそも火災保険や地震保険に適切に加入しているかを確認することも大切なことです。

地震保険は保険会社共通の保険料ですので、どこの保険会社で契約しても変わりませんが、一緒に契約する火災保険の補償内容や保険料は保険会社ごとに差が出てきます。

条件を満たせば様々な割引を利用することも可能ですから、これから家財の地震保険を検討する人や補償の見直しを考えている人は、しっかりと検討するようにしましょう。

 参考節約できる最後のチャンス?!火災保険一括見積

また、火災保険と地震保険について、以下のリンクに詳しくまとめてありますので参考にしてください。

<参考記事>

ライター紹介

takuya元ファイナンシャルプランナー

投稿者プロフィール

独立系のFPとして保険業界に15年以上、保険をはじめ資産運用や相続対策などのコンサルティングをしていました。
生命保険・損害保険どちらにも通ずる経験と情報で、わかりやすく解説します。
【専門分野】保険全般、防災・リスク管理

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