持ち家と賃貸、どっちがお得?なんて論争は昔から結論が出ない永遠のテーマのようになっていますが、今回は分譲マンションに住んでいる人向けの賠償責任問題をテーマにしたコラムとなっております。
実は分譲マンションに住んでいると様々なトラブルが起きているんです。そのトラブルを解決するための方法のひとつとして損害保険での対処方法があります。しかし、その損害保険での対処方法にも以外な落とし穴がある事を知っていますか?
目次
管理組合で加入している損害保険
管理組合で加入している火災保険
分譲マンションでは、入居者個人で火災保険に加入していると思いますが、管理組合でも火災保険に加入しています。ただし、補償範囲は入居者個人で加入している火災保険と異なりますので基本的には「補償がかぶる」事はありません。
分譲マンションの火災保険を検討する際にわかりにくいのが、「専有部分」と「共用部分」と言う言葉かと思います。専有部分とは人が居住している部分の事を言い、共用部分とはエントランスやエレベーターなどの入居者が共通して使用するスペースなどの事を言います。
ですから、入居者個人では専有部分に火災保険を掛け、管理組合では共用部分に火災保険を掛けます。個人では専有部分の他に所有する家財(家具や電化製品、食器や衣類など)も大切な財産ですので、家財にも火災保険を掛ける事をお勧めします。
管理組合で加入している賠償責任保険
マンションでよくあるトラブルとして「階下への水漏れ事故」があります。
「お風呂の水の出しっぱなしが原因で、水が溢れ階下が水びだしになった」と言うケースを聞いた事はありませんか?この場合、水びだしになった階下のフローリングのクリーニングや変色した壁紙の取り換えなどの費用は事故の当事者が負担する事になります。
この水漏れなどの賠償トラブルを回避するためには、単なる火災保険だけでは対応できません。賠償責任保険を火災保険の特約として付保する事が必要になってきます。賠償責任保険は管理組合の火災保険でも、個人の火災保険でもどちらにでも特約として付保する事が出来ます。
個人で加入する場合でも保険料は月100円程度で最高一億円まで補償される優れものです。また、水漏れ以外にも他人の物を壊して弁償しなければいけない場合や、ケガを負わせてしまった場合なども補償の対象となります。
賠償責任保険とは
賠償責任保険のメリット
賠償責任保険にはいくつものメリットがあります。
詳しく知らない人もいるかと思いますので、ここで簡単にまとめてみたいと思います。
そんなに難しいものでもないので、肩の力を抜きながら見てくださいね。
- 他人の物を壊してしまったり、ケガをさせてしまった時の損害賠償
- 1つの契約で同居の親族と別居の未婚の子が補償される
- 保険料が安い(月100円程度)
- 自転車の事故にも対応
- 飼い犬が他人を噛んでケガをさせた場合も補償
と、こんな感じでしょうか。なかなか素晴らしい保険だと思いませんか?
特に、先日の記事『自転車保険を義務化【兵庫県が全国初の条例】』でもお伝えしていますが、火災保険や自動車保険に特約として賠償責任保険が付保されていれば、わざわざ自転車保険に加入する必要はありません。
また、具体的な事故のケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 買い物中に陳列商品を落として壊してしまった
- 飼い犬が他人を噛んでケガをさせた
- 子供が駐車中の車を傷つけてしまった
- マンションの風呂場で水を出しっぱなしにして、階下に被害を負わせた
- 自転車で走行中に他人と衝突しケガを負わせた
補償されないケースも確認しましょう
「使える保険」とは言え、補償の対象外となるケースもあります。
- 契約者や被保険者の故意(保険金詐欺のようなイメージ)
- 地震や噴火、津波を原因とする損害賠償
- 同居の親族に対する損害賠償
- 被保険者の心神喪失による損害賠償
- 被保険者の職務遂行に直接起因する損害賠償(日常生活のみ対象なので仕事中は含まない)
賠償責任保険の『意外な落とし穴』とは
管理組合で加入する賠償責任保険を請求する場合
賠償責任保険は色々な損害保険(火災保険、自動車保険、自動車保険、ペット保険等)に特約で付保する事が出来ます。また、火災保険だけをとっても入居者個人が契約する火災保険と管理組合が管理する火災保険と、それぞれに付保する事が出来ます。
しかし、賠償責任保険はどの損害保険に付保する事が出来ると言う半面、知らずに複数の契約を結んでしまうと言うケースも見られます。もし複数契約しても支払われる金額は決まっていますので(5000万円の損害で、一億円の保険に2つ加入していても請求出来るのは5000万円)、保険料が無駄になってしまいます。
ですから、一般的には管理組合で加入している火災保険に賠償責任保険が付保されている場合は、個人で加入する必要はないと言われています。
・・・実はこれが「意外な落とし穴」なんです!
自分のプライベートを管理組合に報告する?
管理組合で加入する賠償責任保険は、一般的に水漏れ事故などの「マンション内での事故」を想定しています。事故があった場合、管理組合に報告する事は当然ですよね。
では、水漏れ以外のケースではどうでしょうか?
マンション内ではない日常生活において、何らかのトラブルを起こしてしまって賠償責任が発生してしまった場合、保険金の請求や報告を管理組合にする必要があります。
私なら、個人的なトラブルを管理組合に報告したくありません!
だって、もしかしたらその後、事あるごとに「○○さん、あの時の事故は大変でしたね~」とか言われるかもしれないんですよ。正直面倒臭いですよね。プライベートな事まで管理組合に晒すくらいなら月100円支払って個人で契約したほうがいいと言うのが本音です。
どのサイトを見ても、「管理組合で賠償責任保険に加入している場合は、個人で加入する必要はありません」と書いてあります。多分、これが一般的で基本的な意見だと思います。
しかし、私はあえて異なる意見を唱えます!
『管理組合で加入してても、賠償責任保険は個人で加入したほうがいいですよ』
だって、月100円支払えばプライベートな事故を管理組合に報告する必要はなくなるんですから。