あなたは自転車保険をご存じですか?
自動車やバイクに乗る人は乗るために免許が必要ですから、「保険にも入る必要があるのかな」と思うかもしれませんが、免許の必要のない自転車にも保険が必要なのではないかと言う議論がされています。
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全国初の条例化
兵庫県議会は18日、本会議で自転車の使用者に自転車保険への加入を義務化する条例を全国初で可決しました。条例は4月1日から施行されるが、周知期間もある事から保険加入の義務化は10月1日からとの事です。
このニュースを既に目にした人も多いかもしれません。「自転車に保険?」と思うかもしれませんが、自転車の事故は思いのほか重大な悲劇をもたらします。
『自転車事故での高額賠償は保険でカバー出来るか?』でも以前お伝えしていますが、警視庁のデータによれば、平成26年度の自転車事故の件数は約11万2000件にもなり、死亡者は約540人と言われています。
自転車事故は高額な賠償事故になるケースも
自転車事故、特に自転車と歩行者の事故は高額な賠償事故となるケースもありますので注意が必要です。
記憶に新しいところで言うと、2013年に神戸地裁で下された判決で、小学5年生の男子が散歩中の女性と衝突し障害が残るケガを負わせたとして、子供とその親に約9500万円の損害賠償を認めたと言うケースがありました。
たかが自転車事故と思うかもしれませんが、死亡事故や被害者に障害が残る事故を起こした場合、高額な賠償責任が発生するケースもあると言う事を覚えておきましょう。また、「自分は大丈夫」と思っていても、神戸での事故のケースにもあるように、加害者(ぶつけた側)が子供の場合もあります。
子供がぶつかったとしても、相手の被害が大きければ賠償金額も大きくなります。子供でも関係ありません。支払うお金が不足している場合、家や土地などを売って資金を作る事も考えなくてはいけません。
自転車保険は賠償事故を補償する保険
自転車保険とは
自転車保険の補償内容には、自分が自転車に乗っていてケガをした時の入院保障と、他人にケガを負わせてしまった時の賠償責任補償とがあります。
保険料は年間で数千円と比較的安く、賠償責任の保険金額は最高で1億円(5000万円と言うものも多いが足りないだろう)まで補償してくれます。
特に最近では、健康や節約のために自転車通勤をする会社員も増えていますから、自転車保険への加入を検討している人も多いのではないでしょうか。
自転車保険のメリット・デメリット
自転車保険は加入手続きが簡単(インターネットやコンビニ、携帯電話会社経由など)で、保険料も安いと言うメリットがあります。
デメリットは特にありませんが、強いて言えば、プランによっては賠償責任の上限が5000万円と言うものもありますので、先日の神戸での判決のように賠償金が1億円近くになってしまった場合、全く足りなくなってしまうと言う事があります。保険金が5000万円でも1億円でも保険料に大きな差はほとんどありませんから、出来れば1億円まで補償されるプランに加入する事をお勧めします。
まずは自分や家族の火災保険や自動車保険を確認しよう
「自転車保険を検討しているのに、なぜ火災保険と自動車保険?」と思うかもしれませんが、これが実は重要なんです。
自転車保険の補償内容にある賠償責任保険は、火災保険や自動車保険にも特約として付ける事が出来るんです。「個人賠償責任保険特約」や「日常生活賠償責任保険特約」などの言葉で保険証券に記載されていますので、一度保険証券を引っ張り出してきて確認してみてください。
火災保険や自動車保険に特約で付いている賠償責任保険は、自転車保険の補償内容にある賠償責任保険と同じものです。もし、あなたの自動車保険や火災保険に特約で賠償責任保険特約が付いている場合は、新たに自転車保険に加入する必要はないでしょう。
「それでも自分がケガをした時の入院保障も必要じゃない?」と言う人は、すでに医療保険に加入していませんか?自転車でケガした時の入院は自転車保険でしか保障出来ないと言うものではありません。医療保険に加入していれば、自転車でのケガの入院も保障の対象ですから自転車保険と保障が重複してもったいないですよね。
また、家族の誰か一人(同居の親族、もしくは別居の未婚の子)が賠償責任保険に加入していれば、あなたも補償の対象となりますので加入する必要はありません。まず、家族の誰かが賠償責任保険に加入しているかどうかチェックしてみましょう。
兎にも角にも、まずは安全運転が第一です。
もしもの時の保険も考える必要がありますが、まずは事故に遭わないよう、事故を起こさないよう日頃の自転車の乗り方を家族で話し合ってみるのはいかがでしょうか。