東京都世田谷区桜新町の生パスタ専門店「カレン」の看板商品「世田谷ミートカルボ」は来店客の実に8割が注文するという人気メニューです。
こう言うだけで食べてみたくなる人は多いのでなないか、いや既に食べたことがある人であっても何度でも食べたくなる代物なのである。
この「世田谷ミートカルボ」は元々東京都世田谷区尾山台の生パスタ専門店「センプレ」というお店で食べられていました。
それがなぜ桜新町なのか?という記事は筆者が以前記事にしているのでまずはこちらをご覧ください。
それまでも様々なメディアで紹介された「世田谷ミートカルボ」ですが、2023年2月7日放送の日本テレビ「news every」でも取り上げられました。
「”愛される味”大切に守ってます いつまでも変わらぬ味を」受け継ぐ「こだわりの味」というテーマで特集されました。
※日テレTouTubeで見逃し配信もしているので興味のある方はチェックしてみてください。
テレビの反響はすごいもので、嬉しいことに先ほどの私の記事がお店のホームページでもないのにプチバズリを見せてくれました。
それではそろそろ本題に入ります。
このテレビ放送の中で「世田谷ミートカルボ」の誕生秘話というのをやっていました。それを観ていて思い出したのです。
実は前店舗であるセンプレのホームページを作ったのが私であり、その時にも世田谷ミートカルボの誕生秘話の取材もしたなって・・。
そこで昔の資料を引っ張り出してみたところ、もっとお伝えしたいことがあるなって思ったので、さっそく加藤シェフの許可をもらって、その真相を明らかにしようと思った次第です。
目次
引き継がれた究極のレシピ
2018年に惜しまれつつ閉店した「センプレ」は元オーナーの松本氏とシェフだった現「カレン」のオーナー加藤竜司氏の二人ですべてを作り上げてきました。
その加藤氏のお店「カレン」のメニューは必然的に当時のDNAを受け継いだものとなり、世田谷ミートカルボの味も何一つ変えることなく「カレン」で受け継がれているのです。
センプレ店舗写真と松本オーナー(右)加藤シェフ(左)
あと、忘れてはならないのは、
センプレイメージキャラクターだった「せたげってぃー君」も無事に移籍をしています。
「世田谷発スパゲッティを全国へ!」
このスローガンもカレンに引き継がれました。
これからも応援よろしくお願いします。
こだわりぬいた素材選びと調理法が生み出した極上のパスタ
それでは、世田谷ミートカルボ誕生の真相を当時の取材に基づいてお伝えいたします。
ここからはセンプレの時代に遡ります。
実は2つの味じゃなく、3つの味が1つになった「世田谷ミートカルボ」誕生秘話
センプレでは常にオリジナルのメニュー開発を行っておりましたが、生パスタ専門店としてお店の看板になるようなオリジナルな生パスタソースを作ろうと、まずはリサーチから始めました。
パスタの定番と言えば誰しも思い浮かべるのは、
- ミートソース
- カルボナーラ
- ナポリタン
ではないでしょうか。
さらに調べていくと「ミートソース」と「カルボナーラ」は味について人気が高く、懐かしさからは「ナポリタン」が人気という結果でした。
そんな人気のパスタソースを一皿で楽しめたらどうか
ミートソースの肉々しさの美味しさを残しつつカルボナーラのクリーミーさを楽しめ、なおかつトマトの酸味を利かし、ナポリタンのような、どこか懐かしさがあるソースを、モッチモチの生パスタで食べて楽しんでもらおう!
それがセンプレらしいソースだ!
簡単ではなかった・・・試行錯誤の毎日
センプレらしいソースはこれだ!
そう確信したものの、開発はそう簡単ではありませんでした。
まずは、そのままのミートソースとカルボナーラを普通に混ぜてから生パスタとあえてみましたが、もともとそれぞれの個性が強いソースどうしなので、混ぜるだけでは別々の味がするだけで味がバラバラになってしまいました。
次にミートソースとカルボナーラの比率を少しずつ替えて何度も試食しましたが、何かが違うんです。
普通のミートソースやカルボナーラソースはそれぞれ単体で美味しい、もはや独立を果たしているソースですからそれらをただ単に混ぜてしまってはかえってそれぞれの良さを消しあってしまうんですね。
それならあえて混ぜ合わせるための専用ソースを一から作ろう言う結論に至りました。
この考えは結果的に正解でした。
しかしそれからはミートソースとカルボナーラソースの試食・試食・試食の毎日。
かくして、ミートソースのあの肉々の力を十分に引き出した専用ミートソースとカルボナーラのクリーミーな美味しさを十分に引き出した専用のカルボナーラソースをついに完成させました。
いざ混ぜてみるとミートソースの美味しさとカルボナーラの美味しさが感じられました。
そしてさらに2つのソースの味の繋ぎとしてあるものを加えるとナポリタンのようなどこか懐かしさをプラスできることを発見したのです。
このあるものとは残念ながら企業秘密として、どこにもまねのできないセンプレオリジナルソースの完成です!
もちろん生パスタとの相性も抜群によく完璧な出来でした。
命名【ミートソースのカルボナーラ】
あれ?ミートカルボじゃない?
そうなんです。
「世田谷ミートカルボ」は当初「ミートソースのカルボナーラ」という商品名でメニューに登場していました。
わかりやすくということでこのネーミングにしたのですが、逆にわかりやすすぎて別々の味感が出てしまい、最初はなかなか人気メニューにはなりませんでした。
「この味を一度でも食べてもらえれば必ずリピート間違いない!」
味に自信があっただけに、この時はネーミングの大切さを痛感しました。
その後、更に香ばしさなどグレードアップさせ、つけた名前が「ミートカルボ」でした。
今度は、商品名がわかりやすく、そそられるメニュー名だった為かお客様の反応も良く、徐々に注文数が増えていきました。
いちど食べてもらえればバツグンに美味しいソースだからと思う自信は確信に変わっていきました。
世田谷ブランドへ・・・
昨今のカルボナーラ人気に乗り、当店のミートカルボの珍しさも相まって、テレビが取材してくれたり口コミのおかげもあってミートカルボは注文数で当店の代表的なナンバーワンメニューに成長してくれました。
そんな「ミートカルボ」ですが、今度はブランド付けすることによってさらに世に広まっていくきっかけとなったのが「世田谷みやげの指定」した。
世田谷みやげとは
世田谷みやげは、「もらってうれしい世田谷みやげ」をキーワードにかかげ、公益財団法人世田谷区産業振興公社がスタートさせました。世田谷を愛するお店の方から、世田谷にゆかりのある自慢の逸品を募集し、選定しており、平成26年度は、「世田谷みやげ2014」として、92商品が認定されました!
センプレの一番人気メニューでもあり、数々のメディアやコンビニとコラボまで実現した世田谷ミートカルボですが、そのきっかけとなったのが「世田谷みやげ2014」に指定されたことでした。
センプレが世田谷区尾山台にお店をオープンして15年、おかげさまで地元の皆様や各方面の食通の方から支持していただけるまでに成長させていただいた証として何とかこの世田谷の新名物としてパスタで貢献できないかと「ブランド化」を考えました。
その後、前出の公益財団法人世田谷区産業振興公社が主催している世田谷みやげの公募に応募した結果、晴れて「世田谷みやげ2014」に認定され、その後コンビニとのコラボ等につながっていくのです。
世田谷ミートカルボの誕生
その年は世田谷・尾山台にセンプレがオープンして15年、世田谷の新名物としてこのパスタを世田谷より発信したいと言う思いを込めて「ミートカルボ」の前に「世田谷」を付けて「世田谷ミートカルボ」となりました。
これからさらに多くの方に「世田谷ミートカルボ」の名前と世田谷ブランドに恥じない美味しさを伝えていきたいと思っております。
以上、当時の筆者の取材と今は無きセンプレのホームページデータより許可を得て書き起こしました。
コンビニの人気商品に
前の文中に「コンビニとのコラボにつながっていくのです」とありますが、この世田谷ミートカルボは2015年3月に「サークルKサンクス(当時の社名)」からコンビニ商品として販売されたという経緯があります。
その売り上げは、予定販売数をはるかに超えてしまい、品切れが数多くの店舗で出て、工場の食材が無くなってしまったため、販売日数を早めて終了してしまうという事態になるほどでした。
もちろん筆者もコンビニに走った一人でもあるわけです。
当時の様子を商品開発者として、カレンの加藤オーナーはこのように語っています。
商品開発は、すごく苦労した甲斐があり、おかげさまで販売予定期間内に完売するほどの商品を世に送り出すことが出来ました。
発売当日コンビニに行って、自分たちの想いがこもった商品が並んでいるのを見たとたんに涙が出そうになったのを今でも忘れません。
完成はしてみたものの、味には絶対の自信はありましたが実際売れるのだろうか?という思いが出てきて不安の毎日が販売日まで続きました。
忘れもしない販売日3月17日当日、その日はお店も定休日でお休みだったのでお昼になるのを待って近所のサンクスに行きました。
店内に入った瞬間体が震えたのを今でも覚えています。
パスタ弁当コーナーにいっぱいセンプレの世田谷ミートカルボが並んでいました。
あの光景は今でも忘れません。嬉しかったです。あれほど頑張って作った自信作がコンビニに並んでいる。。とりあえずじっと見て1つだけ手に取りまたじっと見て、買ってそのあとも店内にしばらく立って売れていく様子(ちょうど昼時だったので)を眺めていました。
思わず店員でもないのに手に取ったお客様にありがとうございましたと声をかけたくなってしまいそうでした。
そのあともサークルKサンクスをハシゴしては並んでいる商品と売れているところを見て、そこでも1つだけ買ってと繰り返していました。(笑)
なんか夢の中にいる気分でなんとも心地よかったです。
あとは全体の売り上げが不安になりましたが、お店でもお客様から「買ったよ、美味しかった」などの声を数多くいただき、やっと大丈夫だと確信していました。
最後に
世田谷ミートカルボはコンビニ販売のあと、ショップチャンネルの通販番組にも登場して、まだ商品紹介をしている最中にもかかわらず、放送中に完売してしまったという金字塔を打ち立てています。
そんな世田谷ミートカルボが、当時と何ら変わらず桜新町の生パスタ専門店カレンで食べられるのです。
そのレシピは門外不出ですからそこに行かなければ食べることはできません。
皆さん、桜新町を訪れることがあったら是非行ってみてください。いや、わざわざ行く価値はあると思いますよ。
オーナーシェフの加藤竜司君の笑顔と無駄な元気(あっごめん)笑顔と外まで聞こえる元気のいい声がきっとお迎えしてくれますよ。パスタも美味しいけど、シェフの人柄に会いに行く人も多くいることは間違いありません。