人間が最低限生きていくために必要なライフラインは「電気・ガス・水道」と言われています。その中でも特に、飲み水として水道水はなくてはならないものです。
その水道が地震の被害で供給されなくなった場合の対策を考えていきたいと思います。
目次
ライフラインで一番最後に復旧する「水道」
地震などで供給が遮断された場合、その復旧の順番は地域や被害状況にもよりますが「電気・ガス・水道」の順と言われています。
阪神・淡路大震災のケース
阪神・淡路大震災のときは、この3つのライフラインが復旧するまで相当な時間がかかりました(兵庫県の当時の発表による)。
- 電気・・・7日
- ガス・・・85日
- 水道・・・91日
※電話は15日、下水道100日、
当時の神戸市水道局では、震災の11日後に全市の約50%を、約2ヶ月後には93.6%が復旧しました。
これを見ると、生きるために必要な「水」を確保するために何らかの方法で約2ヶ月しのがなければいけないと言うことになります。
必要な水の量は大人1人あたり1日3L
人は水分と十分な睡眠さえあれば、2週間から3週間は生きていけると言われています。
しかし、体の約60%が水分でできていると言われる人間の体は、体内の約2%の水分が失われると喉が渇き始め、5%で頭痛や吐き気を起こし、10~20%の水分が失われると死に至る可能性があるとも言われています。
人が生きていく上で必要な水の量は1日で約3Lと言われています。これは性別や体重などによって多少の前後はありますが、おおよそこれくらいをイメージしておくといいでしょう(1.5Lのペットボトル2本分)。
家族4人の場合、単純計算で1日に12L(ペットボトル8本分)、2ヶ月で720L(480本分)となります。
ただし、実際にはこれだけの量を備蓄しておくには場所の確保も不可能ですから、まずは政府が提唱している「最低3日分」である36L(24本分)を考えましょう。ミネラルウォーターなどのペットボトルは2Lで売られていることが多いことを考えると、36Lでも18本と言う計算です。
「水」の賞味期限と場所の問題
ペットボトルの水にも賞味期限はある
ペットボトルの「未開封の水」にも賞味期限はあります。
「水は腐らない」と言うイメージがありますが、その賞味期限は(販売会社にもよりますが)約2年くらいに設定しているところがほとんどです。
なぜ腐らない水にも賞味期限があるかと言うと、それはペットボトルに原因があると言われています。
日本のミネラルウォーターは十分な加熱処理を行っているものがほとんどですので安心ですが、それでもペットボトルは時間の経過とともに若干の空気を通してしまいます。すると、容器の外の空気のニオイが移ってしまったり風味が変わってしてしまいます。
日本人はニオイに敏感と言われています。多くの人は、もともと「水は無臭なもの」とイメージしていると思います。その水に少しでもニオイが付いていたら飲むときに違和感 を感じてしまいます。
安全上の問題が仮になかったとしても、ただでさえ心身ともに疲れている被災時を考えると、賞味期限の過ぎたペットボトルの水を飲むのは控えたほうがよさそうです。
ただし、賞味期限が切れた水でもトイレやお風呂に使うこともできますし、洗いものやペットの飲み水などに使うこともできますので捨てないでおきましょう。
ウォーターサーバーの活用法
ウォーターサーバーは通常、レバーひとつで熱湯や冷水が出るので便利なのですが、その機能は電気が通じていて初めて活躍します。
ですから、停電時には熱湯や冷水は利用できず常温の水のみとなるので、赤ちゃんの粉ミルクを溶かすための熱湯としては利用できませんし、熱い夏に冷たい水を飲むこともできません。しかし、ウォーターサーバーは常温でも地震などの緊急時にはその効果を最大限に発揮することができます。
大量の水が一度に確保できる
1つの容器に約12Lの水が入っていますので、使用している分と買い置きが2つあればそれだけで合計3つ最大36L(家族4人の3日分)を確保できます。
買い置きの水は高温多湿にならないところに保管するようにしましょう。開封済みのものは約2週間、未開封のものは6ヶ月から1年保存できるものもありますので、最低でも3つの容器を家庭に常備すると安心できますね。
電気が復旧すれば熱湯も利用可能
阪神・淡路大震災のときは7日で電気が復旧しています。何とか1週間しのぐことができれば電気も復旧し、ウォーターサーバーの熱湯や冷水が利用できるようになりますので、乳幼児がいる家庭でも粉ミルクの調乳をすることも可能になります。
乳幼児がいない家庭でも、暖かいスープを飲むことができればそれだけで心に余裕が生まれて完全な復旧まで乗り切ることができる可能性が高くなります。
「ローリングストック法」で賞味期限の問題を解決
ペットボトルの水でもウォーターサーバーの水でも賞味期限はあります。
この賞味期限の問題を解決するために利用するのが「ローリングストック法」です。
ローリングストック法は内閣府でも推奨している災害時の備えの方法で、備蓄している食材や食品を1ヶ月から2ヶ月のサイクル(賞味期限内)で食べていき、減った分を新たに補充・追加するといったものです。
日常的にこのローリングストック法を行っていれば、非常食や水の賞味期限の問題も解決しますし、普段食べ慣れているものを保存できると言うメリットもあります。
<参考記事>
ぜひ、これらの方法を日常から試して慣れることで、万が一地震が起こって水道が止まったときも冷静に行動できるように準備しておきましょう。