大地震や台風、竜巻などの災害が起こると、必ずと言っていいほど災害に便乗した悪徳業者が出没します。
どのような手口で私たちに忍び寄ってくるのか、自然災害後の悪徳業者、特に悪徳リフォーム詐欺について確認しておきましょう。
目次
狙われるのは一戸建てマイホーム
自然災害の後に狙われるのは、マンションに住む人ではなく、夢のマイホーム(一戸建て)を手にした人たちなのです。
では、一戸建てに住んでいる人たちはどのように、何に気をつければいいのでしょうか。
火災保険の代理申請詐欺に注意
「火災保険の代理申請」とは、通常火災保険は契約者である家主が、住んでいる住宅に被害が出たときに保険会社に保険金の請求をするのですが、この請求をリフォーム会社が代理で行うと言うもので、この行為自体は違法ではありません。
しかし、悪徳業者はこの「代理申請」を巧妙に利用し、家主をも欺いて保険金を騙し取ったり、過剰に修理費用を請求したりします。
火災保険は修理見積もりをベースに請求
火災保険は基本的に、火災、落雷、風災、雪災などで被害に遭ったときに保険金が支払われます。
そして、その被害状況を確認し、「修理するのにいくらかかるのか」の見積もりを業者から取り、それを損害保険会社に提出をし認められれば、その金額が保険金として支払われる仕組みです。
ですから、過剰な工事や修理に必要のないオプション工事などにかかった金額は保険金の支払い対象外となりますので注意しましょう。
また、経年劣化(古くなって壊れた)や雨漏りも保険金の支払い対象外です。
悪徳業者の代理申請の手口
自然災害の後、知らない業者(リフォーム業者など)にこのような声をかけられた経験がある人もいるのではないでしょうか。
「屋根瓦は大丈夫ですか?無料で確認しましょうか?」
「あー、少しやられちゃってますね、無料で修理の見積もりだけ取りましょうか?」
「この被害なら火災保険使えば費用はかかりませんよ」
「火災保険の手続きもお任せいただければ全てこちらでやりますので、〇〇様は何もせずに修理できますよ」
「こっちは老朽化による損害だけど、この前の台風の被害と一緒に直してしまえば大丈夫ですよ」
どうでしょうか?
これらと似たようなことを言われたことありませんか?
実は、これが悪徳業者の常とう手段なんです。「無料で」「簡単に」などと甘い言葉を使って近づいてきます。
実際のリフォーム詐欺のトラブル
国民生活センターには、以下のようなトラブルの報告が数多く上がってきています。
業界団体のような名前のところから「自然災害で壊れた箇所はないか」と電話があり、昨年の台風で屋根が傷んでいることを話すと「火災保険で修理できる。うちの指定業者が無料で調査し、保険申請も手伝う」と言われ、後日業者が調査に来た。保険金が出るならと思い、その業者と工事請負契約を結び、作成してもらった見積書等で保険会社に申請すると、60万円の保険金が出ることになった。しかし、やはり工事はなじみの業者に頼んだほうがよいと思い、解約しようとしたところ、保険金の50%もの解約料が取られることがわかった。工事もしていないのに高額すぎないか。(70歳代 男性)
その他にも様々な方法で悪徳業者はアプローチをしてきます。
損害保険協会では、よくある悪徳業者のアプローチ方法をイラストで紹介していますので、そちらを画像引用しておきますので、しっかりと確認しておきましょう。
画像引用:損害保険協会『住宅の修理に関するトラブルにご注意』より
先ほどもお伝えしましたが、必要のない修理や工事、経年劣化は保険金の対象外ですので、いくら業者に甘い言葉を言われても信用しないようにしましょう。
悪徳業者に騙されないための5つの対抗策
では、悪徳業者に騙されないためにはどうしたらいいのでしょうか。
1. 修理見積もりで「おかしいな」と思ったら必ず確認する
修理をする際には、必ず修理の見積書の提示があります。
その見積もりを見て、少しでもわからない点があれば納得いくまで確認をしましょう。
また、もし修理項目で「これは必要なのか?」と疑問を持った場合にも、必ずその修理の根拠、金額の根拠を聞きましょう。
2. 修理見積もりは『必ず複数の業者から取る』ことを徹底する
見積もりは1つの業者から取らなければいけない、と言うことは決してありません。
業者も見積もりの「相みつ」を取られることに慣れていますから、見積もりを提示された後に「他でも見積もりを取っていますので」と伝えて、必ず見積もり内容や金額の比較をしましょう。
もしリフォーム業者が近くにいない場合でも、インターネットなら複数の業者から修理費用が無料で見積もりできますから、絶対にその場で契約をせずに時間をおいて検討するようにしましょう。
参考:全国優良リフォーム会社への一括見積もりなら【リショップナビ】
3. クーリングオフの確認
悪徳業者かどうかに関わらず、業者が家に訪問して商売をしようとすることは特定商取引の「訪問販売」にあたります。
訪問販売で住宅のリフォームや修理の契約を交わした場合、契約書を受け取ってから8日間は契約を解除する権利があります(クーリングオフ)ので、必ず契約書を受け取るようにしましょう。
そして、契約前に「クーリングオフができるかどうか」確認をしましょう。
もしも、契約書を取り交わさずに契約をした場合、8日間を過ぎても契約が解除できる場合があります。
4. 損害保険会社や保険代理店に相談をする
その被害が「保険金の支払い対象かどうか」確認することは一般の人には難しいかもしれません。
しかし、加入している火災保険の損害保険会社や保険代理店の担当に聞けば、その可否や手続きの流れについてもスムーズに教えてくれます。
困ったら、一人で考えずに損害保険会社や保険代理店の担当に必ず確認をするようにしましょう。
5. 消費生活センターに相談する
もしも損害保険会社や保険代理店に連絡できない場合、お近くの消費生活センターに相談しましょう。
電話番号:188(局番なし)
※繋がりにくい場合は、03-3446-1623(国民生活センター 平日バックアップ相談)
参考:全国の消費生活センター
自然災害後に悪徳業者に騙されないための対策 まとめ
悪徳業者に騙されないためには、自分自身もある程度の知識を持っていることが必要です。
しかし、それでも「その場」になれば営業マンの巧妙な話術に翻弄されてしまうかもしれません。
そうならないために、以下のことを覚えておきましょう。
- 自然災害後に悪徳業者は活発に動き出す
- 火災保険での修理はしっかりとした見積もりを複数の業者で取る
- 不明な点は納得するまで確認する
- 訪問販売は契約後8日までクーリングオフがある
- 損害保険会社や保険代理店、消費生活センターに相談する
損害保険会社は、保険金の支払いなどの内容データを共有しています。
「バレないからいいや」などと安易に悪徳業者の甘い言葉に乗ってしまうと、詐欺の片棒を担いだと言うことで損害保険会社から訴えられることもありますので、絶対に甘い言葉には乗らないようにしましょう。