初めて火災保険に加入する人は誰でも、「自分の住んでいる家はどれくらいの保険料なのだろう?」と考えるでしょう。
実際、火災保険の保険料の計算は、生命保険のように性別や年齢で計算出来るように簡単なものではありません。
保険会社が独自に建物や年数を調査して保険料を導き出しますので計算は複雑です。
それでは、どうやって火災保険の保険料は決まるのでしょうか?保険料の相場はあるのでしょうか?3つのポイントに絞って解説していきましょう。
目次
ポイント1 火災保険の計算の基になるのは建物の構造、地域、面積、一軒家か分譲マンションか
1. 建物の構造と地域、面積
火災保険の保険料を計算する時に必要となるのが「建物の構造」と「地域」です。
建物の構造とは、家がどんな材料で建てられているかを指します。
木造なのか、コンクリート造なのか、鉄骨造なのかなど様々です。
鉄骨造やコンクリート造より木造のほうが一般的には燃えやすいので、保険料は高くなります。
また、建物のある地域がどこにあるのかによっても保険料に差が出てきます。
同じ構造の家を都会で建てるよりも田舎で建てるほうが安く買えると言う事から、火事で発生する損害は「都会のほうが大きい」となり、保険料も高くなります。
面積においても狭い家よりも広い面積の家の方が火災保険を掛ける補償対象が大きくなりますので、保険料も高くなります。
2. 一軒家か分譲マンションか
火災保険を掛ける家が一軒家の場合と分譲マンションを比べた場合、一般的に一軒家のほうが火災保険の保険料は高くなります。
これは、一般的に一軒家は木造住宅が多く、分譲マンションはコンクリート造が多く燃えにくい事が理由とされています。
また、分譲マンションは建物全体に火災保険を掛ける必要がなく、自分の部屋のみに補償範囲が限られていますので保険料が安くなる傾向にあります。
ポイント2 補償範囲をどこまで拡げるか
3. 水災の補償をつけるかどうか
火災保険の補償範囲を拡げると、それだけ保険料も高くなります。
例えば「水災」の補償、これは洪水や地滑りなどで建物が被害に遭った際に補償されるもので、保険料の内訳で考えた場合、「単価の高い補償」となっています。
もし、あなたの家の近くに洪水の起きるような河川がなかったり、地滑りの起きそうな立地でなかった場合、マンションの2階以上に住んでいる場合、水災補償は必要ないかもしれません。
4. 地震保険に加入するかどうか
まず第一に、地震保険は単体では加入出来ません。
火災保険とセットで加入する必要があります。ただし、最初に地震保険に加入していなくても保険期間中に中途付加する事は可能です。
将来地震の起きる確率の高い地域では、地震保険の保険料は高くなる傾向にあります。
特に関東、中京、東北などは高確率で大地震が起こる可能性が高いと言う事で、保険会社は高い保険料設定にしています。
また、地震保険には建築年割引や耐震等級割引など様々な割引制度がありますので、自分の家がどの割引に当てはまるのかを確認して少しでも保険料を抑えましょう。
保険料の高い地震保険ですが、FPとしての立場からは「是非とも加入してください」と言いたいと思います。
地震保険は火災保険金額の最大50%まで(火災保険が2000万円なら地震保険は1000万円)と決まっていますが、受け取れる保険金は建て替え費用としてだけでなく、「生活を立て直すための費用」としての使い道があります。
地震の被害に遭った建物に住む事が出来なくなった場合、地震保険金で一時的にアパートを借りたり、生活費に充てる事で生活再建の足がかりにする事が出来ます。
この考え方は、先日の東日本大震災を機に拡がっていき、地震保険への加入の増加に繋がっています。
ただし、2017年1月には地震保険の改定があり、保険料が値上がる地域が多くなることにもご注意ください。
参考記事:もし実際に被災したら火災保険や地震保険、生命保険の払込や請求はどうしたらいいの?
参考記事:2017年1月の地震保険改定で保険料が上がる地域と変更される補償内容について まとめ
ポイント3 払い方次第で変わる保険料
5. 長期契約を利用する
火災保険は2年以上の長期契約で加入すると1年契約と比べて保険料が安く加入出来ます。
10年や20年など年数が長ければ長いほど割引率も大きくなります。
ただし、長期契約の火災保険は割引が大きくなると言っても一括で支払う保険料の金額は1年契約の保険料1年分と比べて一時的に大きくなりますので、予算に余裕がある人にはよいでしょう。
※2015年10月以降、10年超の長期契約は契約できなくなりました。
6. 長期年払いなどを利用する
割引が大きく得られる長期契約ですが、10年契約まででしたら年払いで保険料を支払う事が可能な保険会社もあります。
一括で保険料を支払うよりも割引率は若干落ちますが、1年契約よりは1年当たりの保険料は安くなりますので積極的に利用してみましょう。
7. 2015年10月からは10年超の契約は出来なくなる
近年、地震や大雪、竜巻などの自然災害による保険金の支払いが増加している事から、保険会社は今年(2015年)10月以降から10年超の火災保険の取り扱いを取りやめると決めました。
保険会社は、今後更に地球の温暖化や地殻変動によって自然災害が増えるだろうと予測し、短いスパンでリスクを再計算出来るようにしたのです。
特に新築の住宅などをローンで購入する場合に、住宅ローン期間と合わせて火災保険を35年の長期契約などで組んでいましたが、今後はそれが出来なくなります。
もし今、予算に余裕がある場合は、9月までに10年超の長期契約に見直す事をお勧めします(※すでに10年超は契約できなくなっています)。
1年更新よりも期間の長い長期契約のほうが割引が大きく、1年あたりの保険料が安くなるからです。
このように火災保険の相場は建物の構造や立地条件、補償内容によって決まってきます。
まずはあなたの家の火災保険の適正価格を知ることから
同じような補償内容でも保険会社によって保険料は変わってきますし、建物の評価の仕方も違いますので設定する保険金額(適正価格)も変わってきます。
生命保険と違って、火災保険は専門的な知識も必要になってくる事から、しっかりと自分で情報収集して、じっくり比較検討することが必要です。
必要なら専門的な知識を持ったFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのもいいでしょう。
【火災保険の見積もりの手順】
火災保険の見積もりは難しいものではありません。必要な情報が揃っていれば簡単に見積もりを取ることができます。
住んでいる地域に損害保険の代理店があれば直接相談することも可能ですが、今はパソコンやスマホがあれば簡単に、しかも複数の損害保険会社の見積もりを取ることができます。
見積もりに必要な主な項目は以下の通りです。
- 住んでいる地域(住所)
- 建物の構造(コンクリート造、鉄骨造、木造など)
- 建物の建築年数
- 建物の種類(一戸建てかマンションか)
- 延床(専有)面積
これらの項目は建築確認証などに記載されていますから、予め準備しておきましょう。
例えば、以下のような「無料見積もりサイト」を利用するときの注意事項を3つお伝えします。
- ウソの情報を入力しない
(正しい情報を入力しないと正確な見積もりが出せません) - できるだけ細かく情報を入力する
(適用できる割引などを漏れなく利用するため) - できるだけ多くの損害保険会社の見積もりを取る
(各社の補償内容などに差があり、保険料が安くなる可能性があります)
無料の見積もりサイトを利用すると「後々の営業の電話が面倒くさい」と心配する人もいるかもしれませんが、契約の意思がなければ「必要ありません」とはっきりと断れば問題ありません。
ただし、勉強のためにプロのFPの話を聞いてみるのも「アリ」だと思います。
もし断ってもしつこく営業してきたり、失礼な態度を取る営業マンがいたら迷わず全国の消費生活センターに連絡を入れましょう。
まとめ
- 火災保険の保険料は建物の構造、地域、面積、一軒家か分譲マンションかで決まる。
- 補償範囲をどこまで拡げるかも保険料の計算には重要。
- 保険料の払方でも保険料は変わる!
- 2015年10月から火災保険料は値上げされるので、見直せばお得になることもある!(※メリットが出る期間は終了しています)