厚生年金と厚生年金基金の違いをご存知ですか?お手元に厚生年金基金加入員証をお持ちの方は、基金に加入していることになります。
基金というのは普通の厚生年金とどう違うのか?それを知っておかないと、将来請求漏れで年金の支給額が減ってしまうかもしれません。
知っててよかった!と思えるように、厚生年金基金の仕組みを簡単に説明しましょう。
目次
厚生年金とは
厚生年金とは、会社勤めをしている人が入る年金の種類で、国民年金の「第2号被保険者」にあたります。これに対して自営業やフリーター、専業主婦などは国民年金の「第1号被保険者」です。
会社に勤めていると毎月お給料から社会保険料が引かれていると思いますが、そのうちのひとつが厚生年金保険料です。
保険料はお給料やボーナスに応じて支払う額が決められていて、将来はその支払った保険料の額に応じて年金の支給額が決まります。
厚生年金基金とは
厚生年金は国が運営する年金保険ですが、厚生年金基金とは、企業が運営している年金です。ですから、どんな会社にもある制度ではないんですね。
企業ごとに設立されていますから、何度か転職した場合には複数の厚生年金基金に加入することもあるわけです。
たとえば、
A社:5年勤務(基金なし)
B社:5年勤務(基金あり)
C社:10年勤務(基金あり)
というように勤めた場合、B社とC社、それぞれの基金に加入していたことになります。
厚生年金基金から受けられる年金
国が運営している厚生年金の金額は、それまで払ってきた保険料の額と期間、生年月日別の乗率を使って計算します。それにプラスして、物価スライド分(物価の変動による年金額の差額)が支払われます。
基金が支払う部分は、保険料に応じた額の部分です。これを「基金代行分」といいます。物価スライド分は国から支払われることになります。
そして基金のメリットとして、独自の「上乗せ部分」があるということです。この上乗せ部分は「基本上乗せ部分」と「基金独自の加算部分」にさらに分かれます。
厚生年金基金に加入している場合の保険料
厚生年金基金とは、厚生年金保険の保険料の一部を企業が代わりに運用することで「代行分」を支払う仕組みになっています。
ですから、保険料の一部を基金に支払うことになり、その料率は基金ごとに違うのですが、国と基金、トータルで支払う保険料の額は基金に入っていない人と同じになるようになっています。
基金が解散してしまったら
基金というのは企業が運営しているものですから財政状態が悪い基金は運用資金を維持できず、解散してしまうことがあります。
その場合、基金に余剰金があれば制度を終了して一時金という形で加入員に還元するか、別の企業年金制度(確定拠出年金制度など)に移行するかを会社単位で選択することになります。
代行部分は国から出る
基金が運用していた代行部分は国が代わって支給しますから、基金に入っていなかった人よりも少なくなってしまう、ということはありません。その点についての心配は必要ありません。
ただし、基金が支給するはずだった上乗せ部分は支払われないことになりますので、基金を含めた受け取り見込額と実際にもらえる額には違いが出てくるでしょう。
請求漏れに気をつけて!
この厚生年金基金分ですが、普通の厚生年金とは別に、加入していた基金または企業年金連合会に請求をしないとその分の年金を受け取ることが出来ません。
60歳になった時、年金事務所とは別に、基金に年金を請求することを忘れないで下さい。
請求先は?
厚生年金基金の期間がどれだけあったかで、請求先が違います。請求されるのはずいぶん先だと思いますが、勤めていた期間によって違いがあるのだということだけ覚えておいて下さい。
勤務期間が10年未満→企業年金連合会
勤務期間が10年以上→厚生年金基金
複数の基金に加入していた場合は、その基金それぞれに請求する必要があります。