アガーって、寒天でもなくゼラチンでもない、それでいて寒天のような使い方が出来るというのは何となく知っている。でもどんな原料からできているのかよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。
アガーの特徴やその使い方などを知って、さっそくおやつ作りに役立ててみませんか。
目次
アガーとは凝固剤の一種
ゼリーやムースなどの固まるお菓子を作るときは凝固剤を使いますね。アガーとはその凝固剤の一種です。
アガーの原料は?
アガーの原料は
- スギノリ、ツノマタなどの紅藻類から抽出されたカラーギナンという多糖類
- トーカストビーンガム(カロブ樹の種子から採れる多糖類)
などです。
多糖類とはでんぷんなどの仲間に分類され、食べ物に入れると
- 増粘
- ゲル化
- 安定化
の役割を果たします。
海藻からの抽出物なので水溶性食物繊維が含まれており、胃腸では消化されません。
アガーのカロリーは低い
アガーのカロリーはメーカーによっても違いますが、100gあたり、300~350kcalくらいです。
これは、アガーがそのままだとだまになりやすい性質があり、溶かしやすくするためにブドウ糖が加えられていることがあるからです。
ゼリー1個分ではおよそ9kcalなので、それほど気にするカロリーではありませんね。
アガーは食感がなめらかなのが特徴
アガーはゼラチンのようにふやかす手間がいらず、寒天よりも食感がなめらかという、ゼラチンと寒天のいいとこ取りをしたような食材です。
90度以上で溶けるのでしっかり煮溶かす必要があります。固まる温度は35~60度、常温で固まるので冷蔵庫で冷やす必要はありません。
しかも、室温では再度溶けることはないので安定していて扱いやすいのも特徴の一つです。
無色透明で香りもないので、透明感のあるゼリーを作るのに向いています。
その他の凝固剤との違い
それでは、寒天やゼラチンとはどのような違いがあるのか見てみましょう。
寒天とは
寒天もアガーと同じように海藻が原料です。ただし、寒天が海藻そのものが原料であるのに対し、アガーは海藻から抽出したカラギーナンが原料です。
テングサ、オゴノリなどを煮溶かしてその液体を固めたものがところてん、それを寒晒しにして乾燥させたものを寒天といいます。
これは、江戸時代に旅館の主人が冬の戸外にところてんを出しっぱなしにしていたことから偶然できたもの。ところてんよりも海藻臭さがないので、お菓子作りや料理にも向いています。
寒天のことを英語で「Agar(アガー)」というため、アガー=寒天のことをさしている場合もありますが、日本では寒天とアガーは別のものとして区別しています。
ゼラチンとは
ゼラチンとは動物のたんぱく質から作られるもので、コラーゲンそのものといってもいいでしょう。
プルプルの食感がゼリーやババロアなどに適しています。固めるときは一度溶かして使いますが、融点が低いため、沸騰させてしまうと固まりにくくなってしまいます。
アガーの使い方を知りたい!
アガーはどんな使い方が出来るのでしょうか。普通のゼラチンと同じようにゼリーを作れるのでしょうか。一番作りやすいお水ゼリーをご紹介しましょう。
ダイエットにも良いお水ゼリー
水信玄餅が人気を博してから、水ゼリーも人気ですね。低カロリーでダイエットにも良い上に、夏の水分補給にも適しているそうです。
もちろん、寒天やゼラチンでも固まりますが、若干色がついてしまうため、無色透明のゼリーを作るならアガーが最適です。
◆水ゼリーの材料(1人分)
- 水 100g
- アガー 5g
※ただしメーカーによって適量が違うので、作るときは表示を確認して下さい。
お水は美味しいものを使いましょう。水道水ではカルキの臭みが出てしまうので、出来れば天然の軟水を。
アガーはダマになりやすいので、ほんの少しの砂糖と混ぜてから煮溶かすと溶けやすいですよ。
ただ、そのままではよほどの水好きでないと「美味しくない」と感じる人が多いようなので、フルーツソースや黒蜜などをかけていただくといいでしょう。
ゼリー自体がほぼゼロカロリーですから、かなり低カロリーのおやつになりますね。
食事を飲み込みにくい人のために
アガーはその食感の良さから、食べ物を飲み込みにくい嚥下(えんげ)困難な方の食事などにも使われています。
寒天だと歯ごたえがあり過ぎ、ゼラチンよりものどごしのよいアガーが適しているといわれ、水を飲みにくい方でも水分摂取しやすくなるそうです。
その食べやすさから、離乳食などにもよく使われています。
透明感を活かしたいならアガーを使おう
食感を楽しみながら食物繊維を取りたいなら寒天、コラーゲンを摂りたいならゼラチン、食物繊維を取りながらゼリーの柔らかさを楽しむならアガーです。
アガーは常温で固まる性質から、作業手早く行わないとすぐに固まってしまいます。お菓子作りに慣れた人の方が扱いやすいかもしれませんね。
アガーは透明感のある見た目にも美しいゼリーを作ることが出来るので、お水やサイダーなど、色のついていない素材を使うとキレイに出来ますよ。