本物の竜巻を見たことのある人は、もしかしたら今までそう多くはなかったかもしれません。
しかし、昨今の異常気象や温暖化によって私たちの住む日本でも竜巻が頻繁に起こるようになりました。
そして、インターネットや携帯電話の進歩によって、そのリアルな映像を見ることもできるようになり、竜巻の恐怖を昔よりも身近に感じることができるようになりました。
そこで、竜巻とは一体どんなものなのか、実際に竜巻が起こったらどう対処したらいいのか、事前にどんな準備が必要なのか、などをまとめていきたいと思います。
目次
竜巻の基礎知識
ここでは、竜巻についての基礎知識をまとめていきます。
竜巻は突風のひとつ
竜巻は、積乱雲に伴う上昇気流により発生する渦巻きのひとつで、多くの場合「漏斗状」「柱状」の形をしています。
被害地域は、幅数十メートルから数百メートルの範囲に集中することが多く、稀にその被害地域が数キロに及ぶ場合もあります。
また、竜巻に似たもので、積乱雲から垂直に吹き降ろすような下降気流が地表に衝突して、水平に吹き出し「ダウンバースト」や、積乱雲の下で形成された冷たい空気の塊が、その重みによって流れ出すことで発生する「ガストフロント」などがあります。
竜巻の発生時期
日本において、竜巻は7月から11月までに発生する確率が非常に高く、9月には99件とピークに達します。
以下は気象庁のホームページ「月別の発生確認数」から引用したものですが、竜巻の発生は7月から11月までの約5ヶ月で全体の約70%を占めています。
「藤田スケール」による竜巻の被害規模
竜巻の大きさ、風速など、その脅威は「藤田スケール」と言う物差しによって測ることができます。
竜巻などの激しい突風をもたらす現象は水平規模が小さく、既存の風速計から風速の実測値を得ることは困難です。このため、1971年にシカゴ大学の藤田哲也博士により、竜巻やダウンバーストなどの突風により発生した被害の状況から風速を大まかに推定する藤田スケール(Fスケール)が考案されました。 被害が大きいほどFの値が大きく、風速が大きかったことを示します。日本ではこれまでF4以上の竜巻は観測されていません。
引用元: 気象庁「藤田(F)スケールとは」
具体的なスケールの判別は以下のようになっています(気象庁ホームページより引用)。
記憶にも新しい、平成25年9月2日に茨城県つくば市で起こった竜巻では、負傷者76名、全壊32棟、半壊215棟と言う被害が出ました。
このときの竜巻は、藤田スケールでF3と観測され、その被害範囲は長さ約17km、幅約500mにも及びました。
参考:気象庁「平成24年5月6日に発生した竜巻について(報告)」
竜巻から身を守る方法とは
竜巻はその強烈な突風がイメージとして一番残りますが、実際にはその風による被害以外にも様々な影響が出ると言うことを覚えておかなくてはいけません。
- 様々な飛散物が物凄いスピードで飛んできます。
- 飛散物が壁やガラスを突き破り、窓ガラスが割れることがあります。
- 建物が倒れたり、車がひっくり返ることもあります。
ケガはもちろんのこと、最悪の場合には死亡事故に繋がるケースも少なくありません。
では、実際に竜巻から身を守る方法にはどんなものがあるのでしょうか。
竜巻が発生しそうな状況を知っておく
竜巻は積乱雲の発達によって発生します。
ですから、竜巻の発生前には5つの「兆し」が見られますので、その「兆し」が見られたら自ら避難行動を取ることが重要です。
- 低く黒い雲が接近してくる
- 雷鳴や稲光が見える
- 急に冷たい風が吹いてくる
- 窓や壁に打ち付けるような強い風や雨
- 雹(ひょう)が降ってくる
この5つの「兆し」が見えたら、速やかに頑丈な建物の中に避難し、雨戸や窓・カーテンを閉めて、窓から離れた部屋に避難するようにしましょう。
竜巻が接近してきたら取るべき行動
竜巻が自分の方向に近づいてくる、発生したことを確認した場合には直ちに避難行動を取りましょう。
具体的には、以下のような光景を目にしたら避難が必要です。
- 黒い雲の底が漏斗(ろうと)状に垂れてくるのが見えた。
- 物やゴミなどが巻き上げられているのが見える。
- 土煙が近づいてくる。
- 「ゴーゴー」と言う轟音が聞こえてくる。
- 気圧の急な変化により耳に異常を感じる
避難先はコンクリートなどの頑丈な建物を選びましょう。プレハブ小屋は絶対に避けましょう。あっという間に飛ばされてしまいます。
駆け込める頑丈な建物が近くにない場合、側溝に身を隠したり、頑丈な構造体の側に身をひそめたり、橋の橋脚の隙間などに避難するといいでしょう。
竜巻に備えて普段から気をつけておく4つのこと
竜巻が起こる前にはいくつかの「兆し」が見えることがわかりましたが、しかしそのほとんどの場合は、その「兆し」に気がついても、それを竜巻と認識できずに被害に遭うケースも多く見られます。
「まさか自分が」「まさか自分が住んでいる土地で」と言う思い込みから、避難行動や準備を疎かにしてしまわないように、普段から竜巻に備えておくことが必要です。
1. 家族で普段の生活の中で避難場所を確認しておく
自宅近くで頑丈な建物はどこか?
職場近くで避難するならどの建物か?
子どもたちと遊ぶ公園の近くで避難するならどこか?
普段の生活の中で、「もし竜巻が発生したら」を想定し、家族で避難場所を確認しておきましょう。
2. 飛散防止フィルムなどで窓ガラスを守る
竜巻の被害の中に、割れた窓ガラスでケガをするケースが多く見られます。
そして、割れた窓から大量の雨や飛散物が屋内に入ってくると屋内の家財なども被害に遭ってしまいます。
少しでも人的被害・物的被害を少なくするためにも飛散防止フィルムや合わせガラスなどで竜巻対策をしておきましょう。
3. 竜巻の最新情報を入手しておく
竜巻は発生するまでに段階的に「兆し」を見ることができます。
そして、気象庁の発表する竜巻の情報も段階的に発表されていますので覚えておきましょう。
- 半日から1日前
気象情報で竜巻が発生しやすい状況かどうか(積乱雲の発生など)を確認する。 - 数時間前
「雷注意報」などをチェックします。大気の状態が不安定になるようなら要注意です。 - 0~1時間前
「竜巻注意情報」が発令されます。気象庁のホームページ「竜巻発生確度ナウキャスト」では、リアルタイムの竜巻発生確率を見ることができます。
最新情報はテレビやラジオ、インターネットなどから収集する癖を普段からつけておきましょう。
また、お住まいの自治体や会社のある自治体の公式Twitterなどをフォローしておくと、防災情報などがリアルタイムで発信されますので便利です。
<参考記事 1>
<参考記事 2>
4. 加入している火災保険が竜巻被害にも対応しているかを確認しておく
自宅が竜巻の被害に遭ってしまったら、被害箇所を修理するために火災保険の保険金を請求することができます。
加入している火災保険の補償内容に「竜巻」も含まれているようなら、修理見積もりを取って損害保険会社に保険金の請求を行いましょう。
もしも、現在加入している火災保険が竜巻を補償の対象外としているものであるとしたら、速やかに補償の確認・見直しを行いましょう。
また、住宅が被災してしまい、公的支援などを受けるために罹災証明を取る必要が出てくる場合もあります。
火災保険の請求に罹災証明は必要ありませんが、被災者生活再建支援金、義援金の受け取り、独立行政法人住宅金融支援機構融資、災害援護資金などを希望する場合には必要になりますので、その申請方法などは以下のリンクを参考にしてください。
<参考記事>
竜巻から身を守るための方法まとめ
このように、竜巻から身を守る方法は、事前準備とその場の対応の2種類に分けることができます。
しっかりと竜巻の特性を把握し、天気がどう変われば竜巻が発生しやすいのか、普段から何に気をつけておけばいいのかを覚えておきましょう。
そして、実際に竜巻に遭遇してしまうことがあれば、速やかに頑丈な建物の中に避難し、窓やカーテンを閉めて、窓から離れた部屋に避難するようにしましょう。