突然ですが問題です。
インターネットの賃貸情報サイトで信用できるのはどっちでしょうか?
- 物件登録数ナンバーワンを誇るサイト
- 登録不動産店数ナンバーワンを誇るサイト
このふたつのキャッチフレーズは実際にテレビやネットで使われている言葉です。
今回はなんと、先に答えを言っちゃいます!
インターネットの賃貸情報サイトで信用できてしかも使えるのは、何といっても登録不動産店数が多いサイトです。
それはなぜか?
理由は簡単です。
少々極端な話をしますが、1軒の不動産屋さんが100物件の賃貸物件を登録したサイトと100件の不動産屋さんがそれぞれ最低1物件以上登録したサイトがあるとします。
さてあなたならどっちのサイトを利用しますか?
別の言い方をしましょう。
- 当サイトは登録物件数なんと100件!
- 当サイトは登録不動産業者数なんと100件!
いかがでしょうか?
1の方は物件数100件なんです。
でも2の方は業者が100社も集まっているんです。
しかも1と同じく1業者当たり100物件登録したらどうでしょう・・・。
比べものになりませんね。
決して最終的な物件数を言っているのではなく、たくさんの不動産屋さんがいるサイトのほうが業界的に支持されているサイトであるということは間違いありません。
目次
賃貸業界におけるインターネットの現状と問題点
今の時代、職種や業種を問わず、パソコンやインターネット無しでは何もできないといっても過言ではありません。
例えば、作曲家やアーティストは、作った曲を打ち込むのも再生するのもすべてコンピュータ。
少々極端かもしれませんが、いくら才能があってもパソコンを使いこなせなければもはや仕事にならないでしょう。
賃貸業界も例外ではありません。
立派なお店を構えていても、ネット上に宣伝を載せていなければお客さんが来ない時代なんです。
不動産屋さんはどこも新しい集客方法を模索していますが、現在はその大半がインターネットでしょう。
そんな時代背景の中、あえて賃貸業界にスポットをあてて考えて見ましょう。
インターネット創世記、とあるネットベンチャー企業の社員は「不動産業界は金の成る木」であると言っていました。
案の定、ネットの目覚ましい普及とともに、IT企業の不動産業界参入は目を見張るものがありました。
物件検索サイトがその代表でしょう。
その昔、不動産はお店を一軒一軒回って、足で探すのが定説とされてきました。
しかし現在はどうでしょう。
ユーザーは自宅や会社に居ながらにして空き物件を検索できるまでになりました。
おかげでユーザーは楽にお部屋探しができるようになった反面、お店側では来店客が減るという皮肉な現象に悩まされているのです。
近年、物件検索サイトの運営側の努力で物件情報の質はかなり向上したとは言え、現在のインターネットの賃貸物件情報は、本当に信頼できるのでしょうか?
ここで少し昔のお話をします。
賃貸業界にネットベンチャーなどが運営する物件検索サイトと呼ばれる集客装置が参入してきた当初は、その加入費の安さから、不動産屋さんはこぞって物件検索サイトに会員登録したのです。
しかし、そこはまだまだ規制がなく、ほとんど無法地帯でした。
客寄せのための先物物件ばかりで、そんな物件を一気に掲載する仲介専門業者の独壇場でした。
悪い言葉で言うと「おとり物件」の宝庫ということです。
当時はインターネットの規制が厳しくなかったので、仲介業者は人の目を引きそうな物件ばかりを登録していました。
大手の物件検索サイトを覗いてみると、いわゆる人気エリアの低額家賃価格帯にそれらは多くヒットするのです。
ひどい時には、検索でヒットした物件のほとんどが同じ業者なんてことが珍しくなかったのです。
※先物物件というものはもともとある業者が流通物件を宣伝広告に使っているという性質上、当然他の業者も同じ物件を登録するケースは珍しくありません。
その結果、客寄せ目的のおとり物件、先物物件、先物物件のダブリ等で、検索サイト内の登録物件数が膨れ上がってしまいました。
※先物物件については
「【必見】先物物件のお話」で詳しく説明していますので是非ご参照ください。
検索サイト側はろくに調査もせず登録物件数が多いことだけを宣伝材料にし、物件数業界最多、常時ウン十万件!!ということで情報の多さをだけアピールしていたものです。
現在でもその傾向が完全になくなったわけではありませんが、当時は物件数を競いあっているようなサイトが乱立していました。
しかしあるときその状況は一変します。
物件検索サイト運営側の規制が厳しくなったのです。
物元に許可を得ていない物件や、既に終了している物件を載せている業者に対してのペナルティーが強化されてきたのです。
以前は、「うちのサイトは物件はどんどん登録して大丈夫ですよ」なんて宣伝文句で業者会員の獲得に躍起になっていた運営側も、お上からの規制の手が伸び始めると、とたんに手のひらを返したように、規制強化をうたい出したのです。
しかし、同時にそれは運営側自体の首を絞めることになりました。
不動産業者の物件検索サイト離れが着々と進行していき、インターネットによる物件検索は量から質へとシフトチェンジします。
インターネットによる物件検索も以前の過渡期を過ぎ、業者離れによる淘汰、そして安定の時期に入ったと思われます。
生き残った少数の大手検索サイトのネット参加費は当初に比べると数倍に跳ね上がりました。
これを機に、サイト登録を抹消する業者もさらに増えたのです。
それらの業者は物件検索機能を持った自社サイト作りに力を入れ始めています。
不動産屋さんのホームページを見ると、必ずといっていいほど物件検索が出来るようになっています。
会費が高くて規制の厳しいところに居るよりはるかに得策でしょう。
これからはパーソナルサイトの時代なのでしょうか。
そうです。
今までは物件だけで判断されていたんです。
不動産屋さん側も、自社サイトに力を入れて自らの個性をアピールしないとこれからは生き残っていけない時代なのです。
物件本位のお部屋探しより、プロの目で本当に良い物件を探してくれる不動産屋さんを先に探すことがお部屋探し成功の近道であるということがご理解いただけるはずです。
インターネットによる物件検索の理想とは
私の考える、こうあるべきだと思うインターネットで空室を検索する理想形をお話しします。
それは賃貸物件情報の一元化です。
まず、存在する物件検索サイトはひとつだけ。
すべての不動産屋さんがそこに加入しており、必ず全ての物件を登録しなければいけません。
そうすれば、お部屋を探す側はそのサイトだけで全ての情報が検索でき、しかも短時間で自分の気に入ったお部屋を探し出すことが出来ます。
今までのようにひとつのお店で気に入ったお部屋がなかった場合は次のお店・・。と言うように転々と探さなくても良くなります。
そして希望がどうあれここでヒットしなければそのお部屋は存在しないということになります。
こうなれば賃貸業界も驚異的に変貌するでしょう。
この仕組みが確立すればわたしも「賃貸物件は、まずインターネットで探しましょう。」と物件検索ありきのお部屋探しを推奨するでしょう。
しかしこれはあくまでも理想論であって、賃貸業界の仕組み上、現段階では実現は無理です。
ということは、現在の賃貸業界の仕組みでは、物件情報をインターネットだけで探そうとすること自体に無理があるということなのです。
だからわたしは物件検索ありきはありえないと言っているのです。
たくさんの物件の情報と出所を知っている不動産屋さん個人(担当者)と信頼関係を築き、その人にお願いするのがどれだけ早いことかお分かりいただけましたでしょうか。
まとめ インターネット情報の賢い使い方
インターネットのお部屋探しは情報収集のツールとして、または物件ではなく不動産屋さん自体を探す方法として使うのが良いのです。
不動産屋さん探しだけを間違えなければ、実際にお店に出向いてプロの意見を聞きながら一緒に探すのがいちばん効率の良い方法です。
お部屋探しの下手な人は足を使わずにパソコンの前に座りつづけている人です。
本気でお部屋を探す気になれば1日あれば充分なんです。しかもインターネットで物件検索なんかしなくてもです。
インターネットに登録されている物件情報は、本当にたくさんある物件のうちのほんの一部であるということも忘れないで下さい。