地震保険は必要か?それとも不要か?
この質問は毎年、何十人もの人に質問されますが、結論を先に言うと「地震保険は必要」です。
なぜ地震保険は必要なのか、その理由を3つ説明します。
目次
地震保険の基礎知識
地震保険が必要な理由を説明する前に、まずは地震保険とはどう言うものか簡単に説明します。
地震保険は火災保険とセットで契約
地震保険はそれ単体では契約ができません。必ず火災保険とのセットで契約することが必要です。
もし火災保険のみ契約していて、途中から地震保険を契約しようとするなら、火災保険を契約している損害保険会社で契約することになります。
保険金の支払いパターンは3パターンのみ(2017年1月から4パターン)
地震保険の補償内容は「全損」「半損」「一部損」の3パターンのみと決まっています。
※2017年1月に地震保険の改定があり、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4パターンとなります(ここから2016年8月2日更新分)
補償対象が「建物」の場合、
- 全損
地震等により損害を受け、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合に、契約している保険金額の全額を支払います。 - 大半損
地震等により損害を受け、主要構造部(上記に同じ)の損害の額が、その建物の時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合に、契約している保険金額の60%を支払います。 - 小半損
地震等により損害を受け、主要構造部(上記に同じ)の損害の額が、その建物の時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合に、契約している保険金額の30%を支払います。 - 一部損
地震等により損害を受け、主要構造部(上記に同じ)の損害の額が、その建物の時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受け、建物の損害が全損または半損に至らない場合に、契約している保険金額の5%を支払います。
補償対象が「家財」の場合、
- 全損
地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合に、契約している保険金額の全額を支払います。 - 大半損
地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の60%以上80%未満となった場合に、契約している保険金額の60%を支払います。 - 小半損
地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の30%以上60%未満となった場合に、契約している保険金額の30%を支払います。 - 一部損
地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の10%以上30%未満となった場合に、契約している保険金額の5%を支払います。
地震保険の補償内容
地震保険は、火災保険では補償されない地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失による建物や家財の損害を補償します。
- 地震による火災
- 地震による建物の損壊
- 地震による津波
- 地震による家財の損壊
どこの保険会社でも補償内容や保険料は変わらない
地震保険は政府と損害保険会社が共同で運営しているので、補償内容や保険料は一律で、どの保険会社で契約しても差はありません。地震保険の保険金額は火災保険の半額までと決まっていて、その上限は建物で5000万円、家財で1000万円と決まっています。
地震保険の保険料は、建物の所在地、築年数、構造、面積によって決まります。また建物によって様々な割引があり、建築年数や耐震構造・免震構造かどうかによって最大50%の割引が適用される場合もあります。
なぜ地震保険は必要なのか?
地震保険が必要な理由は3つあります。
地震による火災は地震保険でないと補償されないこと、そして地震保険金は生活の立て直しに利用できるからです。
理由1. 地震による火災は地震保険でないと補償されない
大地震が起きた場合、倒壊したガレキや木材などの可燃物が散乱していることが多く、電気系統のショートやガス漏れなどによって火災が起こる可能性が高くなります。
自宅から出火していなくても、近くの建物が地震により火災を引き起こして、その火が自宅に燃え移る可能性もあります。そうした場合でも地震保険を契約していなければ保険金が支払われないことがありますので注意が必要です。
理由2. 地震保険金は生活の立て直しに利用する
財務省は、地震保険の保険金を以下のように位置付けています。
地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています。
引用元: 財務省『地震保険制度の概要』
地震保険は最高でも火災保険の保険金額の半額しか支払われませんので、建物を修理すると言うことよりも生活を立て直すために必要なものを買い揃えたり、仮住まいの家賃にするなどの役割を持ちます。
ですから、地震保険を契約していないと住む場所もなければ、新しい生活を始めるための資金も捻出できないことになってしまうのです。
理由3. 地震のリスクが高まり、契約できない地域が出てくる
文部科学省の発表によると、30年以内にM7クラスの首都直下地震が起こる確率は70%と言われています。
損害保険会社は、大地震が起こる可能性が高い地域で地震保険を契約することを見合わせる可能性があります。実際に東日本大震災が起こってから東北地方で一時的に契約できない地域が出たり、保険料が倍以上に上がった地域も出てきています。
今の日本では、どの地域に住んでいても大地震に巻き込まれる可能性があります。実際にリスクが高まり損害保険会社が契約を見合わせることになる前に地震保険の検討や契約をしておくことをお勧めします。
自分の住んでいる地域がどのくらい地震の危険性が高いのかは『国土交通省ハザードマップポータルサイト』で確認することができます。地震保険の検討の前には必ずチェックしておきましょう。
<参考記事>
地震保険を少しでもお得に契約する方法
地震保険の見積もりを取ると、割高な保険料に驚く人も多いかもしれません。
しかし、それはこれから起こるべくいくつもの大震災の確率が上がってきていることが科学によって少しずつ証明され始めてきていることで、保険会社のリスクが高まっているからです。そして、保険料の値上げは今後も予定されていますし、どんどん値上がりしていくことは容易に予想できます。
そこで、いかに地震保険をお得に契約できるか、その方法をまとめます。
割引制度を利用する
地震保険には4つの割引制度があり、条件を満たすことができれば最大で50%もの割引を利用することができます。
- 建築年割引(10%)
対象建物が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合に適用されます。
「建物登記簿謄本」、「建築確認書」等で確認をします。 - 耐震等級割引 (10~50%)
対象建物が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定する日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) の評価指針」に定められた耐震等級を有している場合に適用されます。
※耐震等級1・・・10%、耐震等級2・・・30%、耐震等級3・・・50%
「住宅性能評価書」、「共用部分検査・評価シート」、「住宅性能証明書」、「技術的審査適合証」、「現金取得者向け新築対象住宅証明書」、「耐震性能評価書(耐震等級割引の場合に限ります。)」、「独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書」、「住宅用家屋証明書」、「認定長期優良住宅建築証明書」、「免震建築物」または「耐震等級3」であることが確認できる書類(「設計内容説明書」等で確認をします。 - 免震建築物割引(50%)
対象物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 に適用されます。
確認資料は耐震等級割引と同様。 - 耐震診断割引(10%)
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合に適用されます。
耐震診断の結果により国土交通省の定める基準(平成18年国土交通省告示第185号)に適合することを地方公共団体等が証明した書類、耐震診断・耐震改修の結果により減税措置を受けるための証明書(「耐震基準適合証明書」、「住宅耐震改修証明書」等)で確認をします。
長期契約をする
地震保険は1年から5年まで1年単位で契約することができ、契約期間が長いほど保険料を抑えることができます。そして、月払いよりも年払い、年払いよりも一括払いのほうが保険料が安くなります。
ちなみに、1年契約から5年契約までを比べるとどれくらい保険料に差が出るかと言うとこのようになります。
- 2年(係数1.9)
- 3年(係数2.75)
- 4年(係数3.6)
- 5年(係数4.45)
これは、例えば1年間1万円の保険料だとすると、それを5年続けると普通は5万円ですが、5年契約にすると4.45万円で済むと言うことです。
予算に余裕があれば長期契約を選んだ方がお得に地震保険を契約できることがわかります。
火災保険の補償内容を適正化させる
地震保険は単体で契約できません。ですから地震保険を検討する際には必ず火災保険も一緒に検討する必要があります。
そこで、火災保険の補償内容が建物の構造や周りの環境に合っているかどうか確認をすることが必要です。
火災保険の補償内容は細かく分けられていて、例えばマンションの5階に住んでいる人は水害に遭う可能性が低いので「水災」の補償は必要ない、など不要な補償は省くことができます。
また、地震保険は各社共通ですが、火災保険は損害保険会社によって補償内容も違えば保険料にも差が出てきますので、一見同じような補償内容でも保険料はA社よりもB社のほうが安かったなんてこともあります。
補償内容を適正化させることは保険料を抑えるだけでなく、根本的に「本当の安心」を確保することに繋がります。実際の建物や環境に合わない補償内容では万が一の時に満足できる補償を受けることができないからです。
大切なのは、しっかりと過不足なく補償内容を確保することです。そして補償内容を確保したら、その内容で一番保険料の安い保険会社を選ぶことです。
地震保険と火災保険、しっかりと補償内容を適正化させて加入しましょう。
また、火災保険だけではなく、自然災害で被災された方にはその条件によっては『被災者生活再建支援法』が適用される場合があり、支援金最高300万円が受け取れることもありますので、以下の記事も参考にしてみてください。
<参考記事>