「この保険は掛け捨ての保険とは違ってお金が貯まりますから大丈夫ですよ、貯金だと思えば損はしないですよ。」
こう保険の営業から言われて、
「そうかぁ、貯金ならいいかな。何もしなければ私も自分でお金貯められないし」
と、あなたは言われるがままに保険に加入しませんでしたか?
保険相談に来られる方で、結婚や出産をきっかけに保険の見直しを検討する女性の多くが、「貯金」と言う言葉に安心して保険に加入していました。
しかし、この保険の加入の仕方にはメリットもあればデメリットもある事をほとんどの人が知りません。と言うか考えていません。一体どういう事なのでしょうか。
目次
掛け捨ての保険と貯蓄型の保険
保険には掛け捨ての保険と貯蓄型の保険があります。
掛け捨ての保険とは「保険の期間が終わったらお金は戻ってこない」保険の事を言い、貯蓄型の保険とは「支払った掛け金は一定の割合で積み上がっていく」保険を言います。
これだけを見たら、「それじゃ、お金の貯まる保険がいいわ」となりますよね。
掛け捨ての保険の代表格には「定期保険」があり、貯蓄型の保険の代表格には「終身保険」や「養老保険」があります。
定期保険は死亡保険の一種で、割安な掛け金で高い死亡保障が買えますので、子供のいる働き盛りのお父さんなどが加入を検討する保険です。
養老保険は10年や15年などの保険期間が終了すると満期金が戻ってくる保険で、同じ貯蓄型の保険でも終身保険には満期がなく、一生涯の死亡保障となります。
終身保険に満期金はありませんが、支払った掛け金は一定の割合で積み立てられ、ある一定の年齢を過ぎて解約した場合には支払った掛け金の合計よりも多くお金が戻ってくる可能性の高い保険です。
ちなみに、保険金に対して定期保険の掛け金が一番安く、次に終身保険、一番高い掛け金になるのが養老保険です。
実は、ここで問題なのは「終身保険で貯金をしませんか」と言われた場合なんです。
終身保険のメリットは2つ、高い貯蓄性と一生涯の保障
終身保険のメリットは高い貯蓄性と一生涯の保障にあります。
例えば、30歳の女性が月々2万円で1000万円の終身保険(60歳払込)に加入した場合、支払う合計の掛け金は720万円になります。もし支払いが終わる60歳を経過してすぐに解約をした場合には約730万円が戻ってきます。
そして、60歳以降も解約しなければ積み立てたお金はどんどん増えていきますので、長く続けていれば魅力的な保険です。
また、60歳で支払いを終えても1000万円の死亡保障は一生涯続きますので、保険の機能としても有能だと言えます。
え!?メリットがデメリットに変わる?終身保険は両刃の剣
高い貯蓄性を持ち、一生涯の保障もある終身保険ですが、このメリットが実はデメリットでもある事をご存じでしょうか。
高い貯蓄性を求めるためには、最低でも支払いが完了する年齢まで(例では60歳)毎月2万円を支払い続ける必要があります。ほとんどの方は、加入する時は若く独身のため使えるお金に余裕があります。しかし、年月が経ち、結婚や出産を迎えると、お金の使い道や使える金額に変化が出てきます。
実はこの段階で相談に来る女性が多いんです。
結婚をして夫婦二人の新しい生活が始まると、それまでのように自分の好きなようにお金を使う事が出来なくなります。特に子供が出来ると、それまで働いていた職場を辞める人もいるでしょう。そうなると収入は減り、夫の給料だけで生活する事になりますので、どこかで節約をしようと考えたら真っ先に「保険を削ろう」となるわけです。
終身保険は途中で解約をすると、戻ってくるお金はそれまでに支払った合計金額を下回り、いわゆる「損」をしてしまいます。特に保険に加入したばかりの人が解約をする場合には、ほとんどお金が戻ってきません。
あなたは結婚しても、出産した後も今と同じ金額を支払い続ける事は出来ますか?
もし、今あなたが「保険で貯金をしませんか?」とアプローチされていたら、一旦立ち止まって「本当にずっと続けられるのかどうか」考えて見ましょう。
また、もし既に加入していて、この先続けられるかどうか不安と言うあなたは、早めにファイナンシャルプランナーなどに相談する事をお勧めします。少しでも損をしないで解決する方法を教えてくれるはずです。
保険は長期間に渡ってお金を支払い続ける「大きな買い物」の一つです。
家や車を買う時と同様に、しっかりじっくり検討してから購入(加入)してくださいね。