憧れのマンションオーナー。
「ローン審査も通って、晴れて私もサラリーマンの給料以外に不労所得が得られるように・・・」
そんな夢を持っている人も多いでしょう。今日はそんな夢を追う人たちに1つアドバイスをしたいと思います。
ただ、ここで言うアドバイスとは、運用利回りとか、どこの物件がいいとか、そう言うことではありません。
マンションオーナー(一棟所有)が備えるべき保険についてです。
今日は、この「保険」に特化して解説していきたいと思います。
目次
マンションオーナーにはリスクがいっぱい!
憧れのマンションオーナーになれば、入居者の人数分だけ毎月家賃収入があります。
しかし、マンション経営が初めての人には予想もしないことが起こります。マンション経営に潜む、起こる可能性が高いリスクを5つご紹介します。
1. 台風などの自然災害
ここ数年、台風やゲリラ豪雨、竜巻なども増えてきました。私が子どもの頃には竜巻なんてありませんでしたから、気候変動などによって環境が変わってきていると言うことでしょうか。
自然災害でマンションが被害を受ける中でよくある事故が、台風やゲリラ豪雨、大雪や竜巻などです。この場合、どのような事故が起こるのでしょうか?
- 突風でエントランスの街灯が割れてしまった。
- 大雨で1階が冠水してしまった。
- 台風でマンション敷地内の自転車置き場の屋根が壊れてしまった。
- 大雪で雨どいが壊れてしまった。
このような事故は年に1回~3回ほど起こります。修理などに要する費用はそこまで高額になるものはありませんが(中には高額になる場合もあります)、早めの修理や対処をしないと、入居者の信用をなくしてしまい、空室が増えてしまう可能性もありますので注意が必要です。
2. 記憶に新しい大地震の被害
「マンション経営は利益を追求するから地震保険はいらない!」と言う人もいます。しかし、私は敢えて言います。
地震保険には加入しておいたほうがいいですよ。
地震保険の保険料は安くはありません。しかも東日本大震災を含め、様々な地震で多額の保険金が支払われた影響で、保険料が上がっています。
しかも、マンションに多く見られるコンクリート造は特に保険料が上がっています。それでも加入しておいたほうがいい理由は、もし被害に遭った場合の修理費用が余りにも大きいからです。
以下は、私が経験した東日本大震災で被害に遭ったマンションの被害状況です。
- 液状化現象で1階バルコニーが傾き、その後、余震で崩壊。
- 建物壁に多数のひび割れ
- マンション内の階段の崩壊
宮城県内で被災地認定された場所にあったマンションに限っては、航空写真による判定で「全損」扱いとされました。
3. 意外と多い「水漏れ事故」
「水漏れが起こって、階下が水浸しになった!」
こう言った事故の話はマンションに住んでいればよく聞きますが、水漏れは台所やお風呂以外でも起こります。
例えば屋上の貯水タンクの詰まりが原因で水漏れが起こったり、地下に埋まっている排水管が壊れて水が溢れてきて床が濡れる被害に遭ったり。
この「水漏れ事故」はマンション経営をしていて、一番多い事故かもしれません。
4. マンションが原因の賠償責任事故
これはもしかしたら検討材料に入れていない人もいるかもしれません。
しかし、もしかしたら今まで挙げてきた3つよりも高額な費用が必要になるかもしれませんのでご注意ください。
マンションが原因の賠償責任事故とは以下のようなものです。
- 老朽化によってマンションの壁が剥がれ落ちて、第三者がケガまたは死亡してしまった。
- マンション敷地内の柵が壊れていて、そこで遊んでいた子どもがケガをしてしまった。
- 台風で屋根が飛んで、隣りの家の車のフロントガラスを割ってしまった。
特に、第三者をケガさせてしまったり死亡させてしまった場合には、高額な賠償事故(1億円に迫ることも)になる可能性があります。これらはマンションオーナーの管理責任が問われますので注意が必要です。
5. 入居者の自殺、事故死等
できれば考えたくはないのですが、入居者が部屋の中で自殺をしてしまったり、事故に巻き込まれて死亡してしまうケースがあります。
もし、発見が遅くなった場合や夏場などの場合、汚れやニオイが壁や床についてしまい、なかなか普通のクリーニングでは取ることができません。
特別なクリーニングをして原状回復をすると、費用は数百万円にのぼることもあります。
また、その結果、入居者が減少し家賃収入が減ってしまうこともリスクとして考えておかなければいけません。
マンションオーナーが加入すべき必要な保険とは?
上記のようなリスクがマンションオーナーには存在します。このリスクを最小限に抑える手段のひとつとして損害保険があります。
そして、その損害保険とは火災保険と施設賠償責任保険の2つです。
火災保険は自然災害のリスクからマンションを守る
火災保険は火事だけではなく、台風や大雪、雷、竜巻などの被害を補償してくれます。また、プランによっては洪水などの水害も補償してくれるものもあります。
また、火災保険に地震保険をセットすることで、大地震による被害にも対応できます。
地震保険は地震の被害だけでなく、地震で生じた火事や津波も補償します。ただし、地震保険は火災保険とのセットが必須条件ですので単体での加入はできません。そして、地震保険に加入していないと、「地震による火事」は補償されませんので注意しましょう。
地震保険の保険料は高額になりがちですが、建築年や耐震性などによっては割引もききますので、しっかりと確認しておきましょう。
そして、火災保険では様々な特約を選ぶことができます。
上で述べた「自殺や死亡事故」による費用負担や家賃収入の減少も特約で補償することが可能です。また、通常は排水管の水漏れによる配管自体の修理費用については補償の対象外ですが(冬の凍結は例外)、これも特約で補償してくれる保険会社があります。
施設賠償責任保険で賠償事故に備える
マンション自体が原因で第三者に損害を与えてしまったときの補償は施設賠償責任保険で備えます。
この保険は、今までは5年以上の火災保険に特約としてつけることができずに、火災保険とは別に加入することが必要でした。
しかし、2015年10月以降、火災保険の長期契約が10年までしか契約できなくなったことに関連して、この施設賠償責任保険が特約で火災保険に最高10年間つけることが可能になりました。
この保険(特約)に加入していることで、万が一のときの高額な賠償に備えることができます。しっかりと検討しておきましょう。
マンションオーナーが検討すべき保険を選ぶポイント
火災保険は損害保険会社によって保険料に大きな差が出てきます。特にマンション一棟となると、規模によっては数十万円もの差が出てくることは少なくありません。
ですから、火災保険を検討する際には複数の損害保険会社で見積もりを取ることが鉄則です。
保険会社によっては補償できる内容も違ってきます。ですから、見積もりを取る前に自分が契約する物件のポイントを確認しておきましょう。
- 物件の所在地(川や海が近いか、過去に洪水や津波の被害がなかったか)
- 建物の構造(燃えやすい木造か、それともコンクリート造か)
- 物件周辺の治安(盗難や事件などがないか)
- ホームセキュリティーがあるか(保険会社によって割引がきく場合があります)
- 物件に飲食店や事務所などがあるか(場合によっては保険料が割り増しになる場合がありますが、割り増しにならない保険会社もあります)
収益目的のマンション経営ですが、こうしたリスク管理もしっかりとしないと、万が一のときに持ち出すお金が増えて困ってしまいますので、しっかりと検討しておきましょう。
そして、リスク管理に必要な資金は「必要経費」としてしっかり頭に入れておきましょう。