2月20日は「尿漏れ克服の日」だそうです。尿漏れというと、かつては出産をした人が年齢を重ねると起こるもの、と考えられていました。
ところが、今は健康な女性の4人に1人、30歳以上の女性では3人に1人が尿漏れに悩んでいるといわれています。女性の場合、早ければ10代でも起こり、もはや高齢者だけの問題ではないのです。
尿漏れがなぜ起きるのか、その原因と対処法をご紹介します。
目次
尿漏れは立派な病気です
尿漏れは我慢していてもなにかの弾みで漏れてしまうため、外出するのが怖くなったり、友達と旅行にいも行けなくなってしまったり、誰にも相談できずに悩んでいる人がたくさんいます。
その症状の辛さを知らない人にとってはたかが尿漏れかもしれませんが、いつどこで尿が漏れるかもしれないという恐怖感は経験した人にしかわからないでしょう。
でも、一人で悩む必要はありません。尿漏れは立派な病気ですから「治療」できるんですよ。
腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)は、咳やくしゃみをした時、または身体動かした時に漏れてしまう症状です。尿漏れ全体の6割以上を占めています。
腹圧性尿失禁は骨盤底筋がゆるんでしまったことで尿道の位置が動きやすくなることが原因ですが、なぜ尿道が動くと尿が漏れるのか、それは尿道が下がった時に開いてしまうからなんです。
尿道は下がると開く、開くと尿が漏れる、というメカニズムで尿失禁が起きてしまうんですね。
骨盤底筋がゆるむのは、妊娠・出産が契機になることが多く、女性に多い症状です。また、出産していなくても、
- 肥満
- 便秘
- 運動不足
- 立ち仕事が多い
- 重いものをよく持つ
- 身体を締め付ける下着をつけている
などの理由でも骨盤底筋に負荷がかかり、尿漏れが起きやすくなります。
出産していないから大丈夫、と安心していてはいけません。
40代以上になるとくしゃみや咳をした時に尿漏れしたことがある、という人が8割というアンケート結果もあるほどです。
切迫性尿失禁
切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)は、トイレに行こうと思った時に我慢できずに漏れてしまう症状です。
過活動膀胱(かかつどうぼうこう)とも呼ばれ、患者数は男女ほぼ同数です。
- 急に尿意が起こる
- 行こうと思った時にはもう間に合わない
と行った症状で、膀胱に一定量の尿を溜められなくなっていることが原因です。
複合型
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁を両方患っている人も少なくありません。
女性に尿漏れが多い原因
男性よりも女性の方が尿漏れが多いといわれています。
その理由は2つ。女性ならではの理由です。
尿道が短い
男性と比べると女性の方が尿道が短いという身体の特徴があります。女性の尿道は太くて短い、しかも直線形。
男性はS字形で長いので、女性よりはトイレを我慢できる時間が長いのですが、女性はどうしてもその形状から尿漏れが起きやすくなってしまうのです。
出産経験
もう一つの原因が、出産経験です。出産によって骨盤底筋が大きく引っ張られてしまうために、ゆるんでしまうことがあります。
特に2回以上の出産経験がある人は、尿漏れが起きやすくなる傾向があります。
尿漏れの対処法
尿漏れはどうすれば治すことが出来るのか、何か治療法はあるのでしょうか。
軽いものは骨盤底筋体操で
軽い症状であれば、骨盤底筋を鍛えることで改善できることがあります。
◆骨盤底筋体操
- 仰向けに寝て足を肩幅に開いて膝を立てる
- 身体の力を抜いて、肛門・膣・尿道をきゅっと引き締めるようにして3秒静止する
- ゆっくり筋肉をゆるめる
これを数回繰り返します。寝る前にでもやってみて下さい。
今は尿漏れが起きていなくても出産経験のある人は少なからず骨盤底筋が伸びてゆるんでいますから、症状が出る前に予防的に鍛えておくのをおすすめします。
腹圧性尿失禁は手術で改善できる病気
骨盤底筋を鍛えても治らない場合、腹圧性尿失禁は手術によって尿道を固定すれば改善できることがわかっています。
手術時間は20〜30分、局部麻酔で済むので身体への負担も少ないとされています。数日の入院が必要ですが、手術して直せば、5年後も85%の人が再発していないというデータもあります。
切迫性尿失禁は薬で改善できる
切迫性尿失禁は、骨盤底筋のゆるみ以外にも、膀胱の知覚神経や運動神経の不具合が原因です。
これには投薬治療が有効で、早めに治療を開始することで8割以上の人が改善するといわれています。
恥ずかしがらずに相談を!
尿漏れは恥ずかしくて、家族にも相談できずに悩んでいる人がいると思います。でも、症状が悪化する前に、専門医を受診して早めに治療を開始して欲しいと思います。
たとえば、このような会もあります。
>>「ひまわり会(女性の尿失禁・骨盤臓器脱 元患者の会)」
時おり無料電話相談も行っているので、悩んでいる方は1度相談してみてはいかがでしょうか。
今は泌尿器科でも女性の医師がいるところも増えてきました。尿漏れは放っておいても治りません。ですから、恥ずかしがらずに出来るだけ早めに治療を開始して、1日でも早くその悩みから解放されて下さい。